バンコクの日常からほんのひとときエスケープできるスポットへ。今回はすぐそばの昭和臭い市場です。観光名所の川向こうで、手招きしている混沌通り。次はあなたが楽しめますように。
旅して書く係 さすらい上手なスナフキン45歳。
運転手と車掌に張り付いて バスの車窓を楽しんで
庶民の日常市場、ワンラン市場はワット・プラケオの前にある船着場「ター・チャーン」、またはタマサート大学前の「ター・プラジャン」から渡し舟に乗るのが一番便利。早朝から深夜近くまで運行しているそうだ。
午前9時前、BTSプロムポン駅のバス停から今回の旅が始まった。508番のバスに乗って行けば、ターチャンの近くまで行ける。オレンジ色のバスを待つこと30分。一向に来る気配がないので、割合本数の多い48番に乗って、ワットポーまで行くことに予定変更。「ワンラン市場に行きたいの」と車掌さんに船着場近くのバス停で降ろしてくれるようお願いし、16B払う。終点ワット・ポーまで次々と表情を変える景色を楽しんでいたら、あっという間の1時間。しかし降りたところはワットポーの裏手、日本でも有名な旅行会社の名前が書かれたツアーのバンがずらり並ぶ路地、チェトゥポン通り。そこを進むと、マハラート通に続く道に出た。右に曲がりまっすぐ行けば目的の船着場だ。
途中ワット・アルン行きの船が出ているター・ティアンがあった。ここは干物市場としても有名だ。時間があれば散策しても面白そう。
渡る前はマハラート通りで「ぶらぶら」の準備運動
タイに来て間もないころ、このあたりを歩いたときは、アジアパワーに圧倒されてしまって、よく通りや人の様子が見えていなかった。住み慣れた今、あらためて見るとなかなか興味深い。
実は、以前ポストカードを売る屋台に、日本人家族の写真入り年賀はがきを見つけ、どういうルートでここにあるのか、と考えさせられたものだ。今日もそんな掘り出し物がないものかと、あやしい店をひやかしながら歩いた。結局、ターチャーン船着場まで40分のぶらぶらマハラート通り紀行。
白衣光る迷路市場で見つけた特選汁なしバミー
ター・チャーンから渡し舟に。ひとり3B。ドリフトしながら船が到着。観光客の数に反比例して、私のテンションもあがってくる。素顔のバンコクに足を踏み入れるのだ。10分もかからず向こう岸へ到着。そこから、ひとくせ「ワンラン市場」は始まっていた。 「さて、どこに行けばいいのやら……」。渡ったワンラン船着場から右に左にと通路が伸びる。この市場の隣は、死体博物館でおなじみのシリラート病院。白衣姿の人が目に付くので、制服ウォッチングも楽しめる。学生の姿も多い。
通りの人をつらつら眺めながら、とりあえず、いちばん左の通路から迷路に入って行った。すぐに突き当たったので、また左へ行く。
すると中途半端な時間にもかかわらず、混み合っているタイラーメンの店を発見。こういう店はおいしいに違いない。さすらい好きの勘が働く。バミー1杯25B。 具はチャーシューとワンタン。汁なし汁ありが選べるが、汁なしを食べている人が多い。
それにワンタンスープ。デザートにタプティム・クロップが定番のようだ。ほかのお客にならって、私も同じメニューを食べた。
うまかった。麺がおいしい。極細麺なのにぷりぷりしている。タレは甘めだが、ここに調味料4点セットで好みの味に仕上げる。
チャーシューがやわらかくてジューシー! このバミーを食べるために、またここに来てもいいと思った。
おいしい寄り道ざんまい
日本人はもちろん、外国人もほとんどいないこの市場、買い物というよりは、雰囲気を楽しむつもりで歩いたほうがいいかも。地元の生活市場、観光客相手の値段なんてひとつもない。
お昼の時間が近づくにつれ人が多くなってきた。すれ違うのもやっとだ。物見遊山の異邦人、ちょっと疲れてきた。船着場のコーヒーショップでひと休み。チャオプラヤー川、こんなに船の往来があるなんて知らなかったなぁ。
帰りはタマサート大学のほうへ行ってみようと、ター・プラジャン行きの渡し舟に乗った。大学の前にラスクのおいしい店がある。その名も「アロイ(おいしい)」。ここのパッケージがなかなかアメリカーンなのである。
子供のおやつに買って帰ろう。
実は、寄り道が充実していた今回のさすらい。
帰りのバスは、王宮の脇にある、海軍カフェ前から出ている。ここをのぞいていたら、ちょうどバスが来た。これだけ楽しんで帰っても、駅近くにあるわが家に着いたのは午後2時。とにもかくにも、子持ちスナフキンの午前中ぶらぶら紀行、あ~満足!