ちょっトリップ

バンセーンまで カイトボーディングを見に行く【5回】

旅の面白さはちょっとした緊張感とその場で下す度々の判断力。右へ行くか左へそれるか。ゆっくり行くか、少し急ぐか、それともちょっと休もうか。すれ違った人も、目にする景色も他生の縁なのでしょうね。

旅して書く係 旅は道連れ、世は情け。特にドライブはね。 編集部 車幹次郎(仮)

バンコクから車で約1時間。ローカルな海辺まで自分で車を運転して行ってみませんか?行き方がわからない?地図が不正確?標識がわかり辛い?大丈夫です。完全にナビゲートして差し上げましょう。

フジスーパー2号店から1時45分に出発してみます。ここで走行距離メーターをゼロにしてください。以下助手席の方に読み上げてもらってくださいね。
 

●13:45 0km
フジスーパー2を出発。ペッブリー通りからラマ9世通りへ向かいます。ラマ9世通りへの行き方は必ずこの地図のとおりでお願いします。そうしないと走行距離が用をなしません。この陸橋の手前を左折してラマ9世通りへ

●13:58    9.3km  
ラマ9世通りから一路空港へという気分のシーナカリン地点通過。普通乗用車の制限速度は時速120キロ。

●14:13 35.1km  
料金所。30Bを払う。前方の標識を見てチョンブリを目指す。

●14:30 65.7km   
ゆるいカーブを過ぎると前方に山が見える。

●14:33 74.2km   
チョンブリーとパタヤ行きの標識が別々に前方に。パタヤを目指すこと。

●14:36 76.7km  
再び料金所。30Bを払う。前方の山肌がくっきり見えてくる。

●14:37 79.9km
チョンブリー方面は左への標識。しかしまっすぐパタヤを目指すこと。

●14:41 86.6km
初めてバンセーン(Bang Saen)の標識が出現する地点。パタヤは左の道へそれるが、直進。陸橋をおり、88.4kmの地点でモーターウェイから一般道へ合流。

●14:44 91.7km    
「バンセーンは左へ」の看板あり。92.2km道を左にそれたはいいが、突然二股になる。左はUターン用の道。右がバンセーンだ。二股の後の分かれ道は右へ。ここが一番の難所(=不親切な標識)かもしれない。陸橋を上がり、降りて道なりに。もうすぐバンセーンだ。

●14:49 94.6km   
チョンブリーとシーラチャーの標識が出現。無視して道なりに走ると国道3号線に合流。96.0kmの地点にビッグC。信号で混雑するので一番左の車線を走ったほうがいい。97.4kmの地点の信号を左折すると石臼で有名なアンシラーの港町だが左折せず、直進でバンセーンを目指す。101kmの地点の交差点を左折。ここがバンセーンのメイン通りである。102.7kmの地点左にブラパー大学あり。

●14:58 103.7km
バンセーンビーチロード着。ロータリーを右折すると……ビーチロードは混雑している。106.7kmの地点左にあるのがタン岬。タイで一番夕日がきれいと言われているところだ。107kmの地点に水平線とサンムック山を借景にした日本食レストラン「活鮮」。ここでひとまず運転の疲れをとる。鮪、サーモン、イカの生と炙りが対になって供される「炙り寿司食べ比べセット260B」なぞつまむ。海と山と寿司。サンムックの景観が歌川広重作の浮世絵「東海道五十三次」を想起させる。他生の縁なのか目が休まる。

●16:13    107km
「活鮮」を後にする。ビーチロードに平行する裏道からメイン通りを目指す。110.1km、メイン通り交差点。横切って直進。(右ページ地図参照)

●16:19 111.1km
ブラパー大学別門を通過。

●16:20 111.6km   
バンセーンウインドサーフクラブ着。右手のヘナヘナした旗のあるソイを右折して入る。

ところが。
風はないし潮は引いて海底が白日のもとにむき出しになっている。クラブに集うタイ人も暑さを避け、小屋の中でトランプをしたり、芝生用のスプリンクラーを全開にして涼とっている。総じてダラ~っとした空気が流れている。

●17:00   
クラブの主、チュアーチャイ・チャーンサムット氏に話しかけようとすると一陣の突風が走り抜けた。インストラクターのカセームサン・パーニッチャルーン氏の目も輝いた(二人とも普段はブラパー大学で体育・レクリエーション学を教えている)。「嵐!」。さっきまでのダラダラムードが一転。嵐の予感とともに皆、身支度を始める。

●17:15   
浜辺の鳩が風上へ向かっても対地速度がゼロになる強風だ。消防士のように素早く身支度を整えたクラブのみんなは、次々と凧を背負い水平線を目指す。ここはウインドサーフクラブなのだが、最近はこのカイトボーディングが人気らしい(8時間コース5000B)。凧を背負って次々と岩場を降りてゆくバットマンたち。その遊戯ぶりを岩に座って見学すること1時間。凧密度が高すぎ糸が絡まるのではないかと見ていて不安になるが、きっと岸から平面的に見ているからなのだろう。カイトボーディングに興じる人の動きに自分を投影して、今だ、飛べ、なんて心の中で叫んでいる。着地に失敗すると岸にいる人らの笑い声が沸き起こる。

●18:14
クラブを後にしてタン岬へ。線香花火の最後のような夕日が水平線に落ちようとしている。116.5kmの地点から漆黒の闇に塗られたバンセーンの町からバンコクに戻る。帰りはモーターウェイではなくバンナー経由にした。無事フジスーパー2に到着すると走行距離は217.7kmを示していた。

 


 

 

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