バンコクの日常からほんのひとときエスケープできるバンコク近郊のローカルスポットへ。見どころ1つ、昼食1カ所が基本コースです。次はあなたが行けるように。この1日レジャーを楽しむコツも合わせて紹介します。
おすすめ係 元史跡発掘調査員のテンモー
旅して書く係 だれかと行って、途中でひとりの自由時間がある旅が好き。編集部KN
世界遺産の古都、アユタヤ。
テンモーが今回勧めてきた街だ。
「今さらぁ~?」と目を三角にしたら、
「アユタヤ名物、ホイ・チャー・ガタを食べたことはありますか? 100万個近いおもちゃを集めた博物館を知ってますか?」と腕組みをした。
先週、友達カップルがデートしてきたコースだと言う。そりゃローカル度満点!? あ、行く行く! ごめん。今度は目がハの字。
待ち合わせはフアラムポーン駅。8時20分発の列車はウボンタニゆき、11番のりばから。片道20B。遅れてホームに入ってきた列車を見ながら、旅情なんぞに誘われて写真を撮っていたら、たちまち車内は満席状態。大荷物を抱えた老夫婦、座席に丸まって寝ているカップル、きれいな身なりで凛と立つ婦人。車内を見渡していたら、
祖母が話していた上京物語を思い出した。
「鹿児島から東京まで、ずっと固い椅子に座ったまんま。床に座ったりみんないろんな格好で1日を車内で過ごしたよ」。
これも、まるで昭和列車だ。
アユタヤ駅に着いたら、ふくらはぎを軽くもんでキュートなトゥクトゥクに近づく。
「遺跡あたりまで●●バーツ」と案内されるが振りきり、渡し船のりばへ。駅から徒歩2分だ。大人片道4B、対岸まで1分。朝4時から20時まで利用できる。対岸に降り、木の階段を上ると、レンタルバイクショップが右に見える。ここで自転車を借りる。大きな車輪タイプは40B。私たちはキティちゃんタイプの50Bにした。
まもなく11時という頃の日差しは容赦なく肌を射す。暑いほど、ペダルをゴンゴンこぐ。立ち漕ぎをして、無理やり風をおこす。その風に目を細め、遺跡周囲に設けられた自転車道をゆく。いつも左肩の向こうには遺跡がそびえていた。「今回、遺跡は置いといて……」と思ったが、やっぱり寄りたくなる。ワット・マハタートでひとまず駐輪。仏教国のそこはかとない憂いと誇りを感じながら数十分歩き、15Bのアイスをしゃぶる。テンモーはタロイモ味、私はバイトゥーイ味。アユタヤは来るたびに暑い。アイスが似合う。
テンモーの腕組み、その1。
「ホイ・チャー・ガタ」を食べに、ワット・ダミカラート近くの食堂「ホイ・チャー・ガタ・ローン 」へ行く。これは貝類を黒コショウととき卵とモヤシでアツアツの鉄板で和えたもの。見た目は「ホイ・トート(タイ風カキ入りお好焼き)」や「オースワン(カキともやしと卵の炒め物)」に似ている。ピリピリ黒コショウがモヤシとカキや貝に効いている。ぷるぷる、ふわふわ。おー、ビール持ってきて! 春雨のタイ風焼きそば「パッタイ・ウンセン」も酸味と塩が強めのトマトソースが腰のある春雨に絡んでいた。私はこっちをまた食べたい。
テンモーの腕組み、その2。
ミリオン・トイ・ミュージアムへ。その名も「100万おもちゃ博物館」。食堂から遺跡の外周を右へ、ペダルを5分漕げば着く。バンコクにあるシーナカリンウィロート大学の教授、Krirk先生が25年構想で作った世界のおもちゃ博物館だ。先生が師と仰ぐのは、世界的にも超有名なおもちゃ蒐集家、北原照久氏。彼との出会いがなかった今日はなかったという。ミリオンは100万個収集するのが夢だから。
現在の保有数は秘密らしいが、蒐集の一部を書きます。いいですか、いきますよ。招き猫、古いガラス、時計、仏像、タイの弁当箱、ベンジャロン焼き、アンティーク家電、アトム、ウルトラマン、ミッキマウス、アラレちゃん、アンパンマン、ハリウッドキャラクター、クラシックカーや戦闘機のプラモデル、ロボットあれこれ、西洋のミルク飲み人形、古銭、プラクルアン(タイのお守り)、日本のこけし、そろばん……。うっとりして、ぼうっとなった。採光すばらしい館内のピカピカに磨きあげられた床で、10分ほど昼寝をした。ここに住みたい。アユタヤ、広いな。
Million Toy Museum By Krirk Yoonpun
住所 45 Moo 2, U-Thong Rd.
営業 開館時間:9時~16時 月休
TEL 0-3532-8949
HP www.milliontoymuseum.com
行き方:船着場すぐの貸自転車屋「Intarakorn Shop」
(TEL:08-1385-8810、6時~18時)から自転車で約15分。ワットマハタートから約10分。
もしくはアユタヤ駅からトゥクトゥクで。