苦楽を共にしたタイ人女子がまもなく会社を辞める。その彼女に「海沿いでシーフードとビールを楽しみ、一緒に過ごした時間をだらだらと話したりしたいね」と言ったら連れてきてくれました。次はあなたが大切な人と過ごせますように。
おすすめ係 テンモー 編集部のシニアリサーチャー
旅して書く係 編集部 K ビーチでビールが大好き
リサーチャーとして活躍してくれたテンモーが留学のために会社を辞めることになった。旅の目的は慰労と解放、「ビールとシーフードとだらだら話+どっか見る」。女ふたり旅の1日が始まった。「どっか見る」は、彼女のリクエストで、パタヤの海沿いにそびえ立つ木造物、サンクチュアリー・オブ・トゥルース(以下、サンクチュアリー)へ行くことにした。
往路は実践タイ語でソンテウ交渉
ランナム通りのセンチュリーにあるロット・トゥー(乗り合いバン)乗り場を午前中に出て、現地でソンテウに乗換て、昼前に到着。ロット・トゥー売場でのチケット購入、運行時間の確認、ソンテウ(乗り合い小型トラック)との交渉など、今回はタイ語力が多少いる道中だ。次回、私が日本からの友人を連れていく時は、頑張らねばならない。ま、それも楽し。失敗も楽し。何語だろうが通じりゃいいんだ。というのはテンモーたちタイ人と仕事をしてきて知ったこと。
建物周辺の心地よい散歩道をゆく
サムットプラカーン県のエラワン象博物館とムアン・ボラーンを建てたレック・ウィリヤパン氏が、伝統の木造物を蘇らせるために1981年に着工したのが、パタヤのサンクチュアリー。レック氏が亡くなった現在でも竣工にはいたらず、建設が続いている。
その様子と豪奢な彫刻の外観、内なる採光の状態など、アジアのサグラダファミリアと呼んでもいいのではないだろうか。
その高さは100m以上だ。歴女のテンモーはちょっと悔しがる。「日本の人が来てもサッと通りすぎるだけで、じっくり見ないそうです。建物について説明を受けないからじゃないのかな」と熱心だ。今日はいいよ、だらだらしよう。「いや、ちゃんと書いてください」。……はい、わかりました。建設には300人以上の職人が関わっており、紅木、フタバガキ科の木、ゴールデンチーク、ビルマパドークの4種の木を場所によって使い分けている。いずれも100年以上経っている古木だ。釘を使わず組木の技術で建てられている。
「真実の聖域」と訳されるこの建造物は、人と宇宙との関係が明確に表現されていると言うが、そこはよくわからなかった。ただ、彫られた神々たちの表情、体つきはどれも慈愛に満ちていた。それを木の曲線で精巧に作っている。ニスは塗らない、磨きもしない。彫りっぱなし。ノミの跡に素朴さと技術の高さがうかがえる。柱や壁面には、ヨーロッパとアジアの文様が混在していた。せっかくなので、英語ガイドをお願いして建物内をじっくりみてまわろう。
緑茂るサンクチュアリーの周辺をぶらぶら歩き、園内のカフェでタイ料理を軽く食べた。麺類1皿50B前後。小腹を満たして、実際の彫刻の様子を見に職人の工房へ。写真が上手なテンモーにカメラ講座を受けながら歩いているうちに西日が差し始めた。
初にお目にかかるスープ
早くビールが飲みたかった私は、彼女をせかしタクシーでレストラン「ジェージュック・シーフード」へ向かった。経理のブンが「そういう旅なら」と紹介してくれたこの店は、海沿いではなく道路沿いだった。でも、よかった。ここでおもしろい料理に出会えた。
テンモーが「すっぱーっ!」と顔をくしゃくしゃにしたスープは南国の酸っぱいフルーツ、マカーム(タマリンド)がたっぷり入ったハタの魚スープ。酸味好きの私にはたいそうおいしい一品となった。バンコクではお目にかかれないとテンモーも言う。
彼女がおいしいと唸ったのはパック・グラチェート(水おじき草)の炒め物。シーフードじゃないじゃん。たしかにコクあるソースと野菜の歯ごたえがおいしいかったけど。「元々は話すのが苦手だったけど、特集の調査で鍛えられた。フォーカス・オン・タイランドの写真やホテル会員券などの手配は、交渉しないといけなかったしね。楽しかったのは旅モノや料理の特集。
トゥクトゥクや電車、ロングセラー商品、タイ米などの調べ物は自分のためにもなった……」と、彼女は仕事を振り返り、ビールを1本空けた。ワンデートリップでは、特にノルタルジーを誘う古い街並みが心に残っているという。
またいつの日か、一緒にすごそう。
行き方
BTSアヌサワリー・チャイ駅2番出口からランナム通りのセンチュリー前のロット・トゥー乗り場へ。
パタヤ・ヌアまでチケット片道100Bを購入。ここで帰りのパタヤ発の便は何時まであるか確認して。飲み水は携帯しておこう
2時間弱のドライブ。1回のトイレ休憩あり。なるべく乗車前にすませておこう
バンコク・パタヤ病院を過ぎたところのパタヤ・ヌアで下車。ここから反対車線に渡り、流しているソンテウを拾い、「サンクチュアリー・オブ・トゥルースまで」チャーター交渉をする。目安は1台100B
レストランへ・・・
「ジェージュック・シーフードまではサンクチュアリー・オブ・トゥルース内のチャータータクシーを利用しよう。1台150B
「ジェージュック・シーフード」の反対側に渡り、ソンテウを拾い、パタヤ・タイのロット・トゥー乗り場(Honey Lodge Hotel横)へ。1人8B