新型コロナウイルス感染拡大を防ぐための規制も徐々に緩和されているバンコクは、活気を取り戻しつつあります。
そんなタイの日常を、日本人スタッフの目線で切り取ります。
今回は、会長のNがレポート。振り替えになったタイ正月の7日27日、バンコクからラヨーンへ足を運びました。
パイナップルとコーン畑を貫く36号線。窓の外には綿菓子をちぎって青空のキャンバスに投げつけたようないくつもの雲が浮かんでいる。
バンコクの街角を抜け高速道路でラヨーンを目指した。新型コロナの拡散を防ぐために振り替えになったタイ正月の7日27日、料金所には「FREE」と書かれたボードがぶら下がっている。出稼ぎのタイ人に帰省を促す毎年の政府の計らいだ。「久しぶりの実家でゆっくりね」と読める。
ラヨーンで知人の日本人女性がダイブセンター(www.facebook.com/RayongDiveCenter/)を経営している。スマホからこぼれんばかりの美しい海と空、雲と波の写真を日頃から発信しているセンターを一度訪れたかった。
タイに入国したエジプトの軍関係者が隔離期間中、隔離施設を出て、ラヨーンの町を出歩いたことがニュースになり、観光客に冷や水を浴びせ、そのせいでセンターの宿泊施設に空きが出た。しかし二日連続の休みは取れない。そこでおずおずと「ディ・ユース」を打診し「一泊したつもりになる日帰り旅行」を決行した。
バンコクを7時に出て、9時半にダイブセンター着。海側の部屋の鍵を受け取り1時間仮眠。目覚めるとはたして一泊した気分になっている。シャワーを浴びて海岸を歩き、自分の指先と水平線を交互にみつめて視力回復の訓練をしたあとは、ビールを飲んで、オーナーが作ってくれた心尽くしの昼食をご馳走になる。
海風に晒されながらオーナーやお客さんと歓談した。「一泊したつもりの日帰り旅行」を進化させて、次回はサメット島への船着場バーン・ペーの公共市場に寄り、獲れたばかりの魚介を仕入れてから宿に行き、白ワインで刺身やらカルパッチョをやっちゃって「南イタリアでないのに南イタリアで一泊したつもりになる日帰り」を思いついて、「市場で魚買って、ここで刺身でいただいていいですか」とお聞きすると「いいですよ。BBQもやりましょう」と快諾を得る。透き通ったイカ、あるかな? ハタは刺身で、鯛は蒸そうか、カルパッチョはスズキで、たっぷりのアサリでボンゴレ……(もちろん料理はお手伝いします)。
センターはクルーズ船を数艘所有している。ならばとさらに進化させて「クルーズ船上でお刺身が食べられたらいいですね」と酔った勢いで切り出した。「オフシーズンでもクルーズ船をフルに活用できますね」とオーナー。
彼女が初めてダイビングを経験させてもらったパタヤーのショップがコロナ禍により立ち行かなくなり、そこの経営も引き継いだそうだ。外国からお客さんがいない今、タイ国内の需要を掘り起こすしかない。
部屋へ戻って波の音を聞きながら数時間爆睡。夕方宿を出るときには、ここで二泊三日過ごした気分になっていた。次は綿菓子のような雲をくぐって南イタリアへ……が実現する。