新型コロナウイルス感染拡大を防ぐための規制も徐々に緩和されているバンコクは、活気を取り戻しつつあります。
そんなタイの日常を、日本人スタッフの目線で切り取ります。
今回は、編集Aがチャオプラヤ川〜カオサンの様子をレポート。
週末、MRTサムヨート駅に降り立った。目的はクロントム市場だったのだが、何も考えず日曜の18時に訪れたらもぬけの殻。
これはどうしたものか。予定を変更して、チャオプラヤ川の方へ向うことにした。名物?の渋滞も復活して息苦しいバンコクだが、チャオプラヤ川沿いは唯一といっていい「サバーイ」な場所だ。
6月末、MRTサナームチャイ駅から700mの場所に「チャオプラヤ・スカイパーク」という新しい公園がオープンした。30年の間、手を加えられることがなかったチャオプラヤ川に架かる橋の一部が整備され、全長280m、幅8.5mの公園ができたのだ。
クロントム市場とは打って変わって、ここには人があふれている。風が気持ちいい。みな夕涼みに来ていて、たくさんのカップルが写真撮影をしていたのが印象的だ。自転車の集団もいる。ここだけに限らず、このあたりでは自転車をよく見る。
せっかくなので夕方の涼しい空気のなか、チャオプラヤ川に沿って散歩することに。
まず訪れたパークローン市場は、花を専門に扱う市場。大きな籠を手押し車にのせ、人が行き交う。もう「完全復活」といっていい賑わいだ。マスク越しでも、鼻腔をくすぐるいい匂いが充満しているのがわかる。
それとは対照的に、観光客で賑わっていたエリアはまだ寂しい。ワットポーを過ぎて王宮へ到着したが、市場からここまでは、めっきり人がいなくなった。チャーン船着き場が改修されるようで、また観光客があふれるようになるころには、より整った姿になることだろう。
ここまできたら、そのままカオサン方面まで足を延ばす。プラアティット通りを抜け、お寺の裏を進もうと思う。昔、旅行で来ていたときに何度も通った懐かしい道だが、ここも歩行者はほぼゼロ。
21時にカオサンに到着。どうやら多少は人が集まっているらしい。
今、カオサン通りでは改修工事が行われている。両脇の飲み屋が歩道まで椅子を広げて、それなりに気持ちのよい雰囲気になっていた。
ただし、カオサンに集まっているのはタイ人グループばかり。3,4人の少人数でのんびりとお酒を飲んでいる。もうちょっと外国人がいると思ったが、見かけたのは2、3人の長期滞在風の白人だけ。中国人の姿も、もちろんない。盛り上がる時間にはまだ少し早いが、人出に反して音楽がガンガンにかかり、客引きも多いことが、逆にさみしさを感じさせた。
通り沿いにも露店が少ない。これは観光客が少ないからなのか、改修工事が行われたからなのか。以前は曜日に関係なく盛り上がっていたカオサン。外国人がびっしり入っていた飲み屋から、人がぽっかりと抜けてしまった。どれだけの酒がここで消費されていたのか。観光が生み出す経済を体感する。
そのままランブトリ通りへ抜け、屋台街へ。すると、再び人があふれた。ここはタイ人住民の生活圏内ということなのか。ややさみしくなった気持ちを吹き飛ばしてくれるかのように賑わっている。
観光の復活はまだ先になりそうだが、タイの人々は確実に活気を取り戻している。元気をもらった私は、タクシーに飛び乗り帰路についた。