肝臓から喜ぶ「しじみラーメン」啖呵売・口上
鬼も十八、番茶も出花。 近道遠道、遠道近道、回るは早道、走ればつまずく急せいては事を仕損じる。お酒飲みなら知っている、しみじみしみるよオルチニン。肝臓に良いとされる成分が、おすましやお味噌汁に溶けまして、疲れた肝に染み渡り、いやはやなんともいい具合です。と言ってもこれは日本でのお話で。タイにしじみはありゃしません。
さあて、この「しじみ祭り」。某日某所、さるやんごとなき方と朋友レストランの間で秘密裏に話し合われ、やっとこさここにこぎつけた。
「何かタイ人に受けるタイ人のまだ知らない日本の食材はないかしら」と朋友さん。やんごとなき方はあれやこれやと熟考の末、「しじみなんかどうでしょう」とやんわり切り出した。さあお立ち会い!
タイ人に受ける日本食といえば、ラーメン、カレー、うどん……あらあらタイ料理に共通するものばかりじゃございませんか。それらにしじみの出汁を使ってみたらというもの。さあどうだ!

しじみの名産地と言えば、の青森県十三湖産
もののはじまりが一ならば、国のはじまりが大和の国、島のはじまりが淡路島、泥棒のはじまりが石川五右衛門なら、貝のはじまりが縄文時代は蜆ヶ森のしじみの貝塚ときたもんだ。
バンコク、アソーク、グラミービル。雨季にまたくる大洪水、粋な姉ちゃん雨宿り、四角四面は豆腐屋の娘、色は白いが水くさい。黒米黒豚黒豆と黒い黒いは何見てわかる、しじみも仲間に入れとくれ。色が黒くて食いつきたいが、あたしゃ入れ歯で歯が立たないよときやがった。さあお立ち会い。
しじみ祭りで提供されるは麺セット3種とカレーセット2種、そしてアラカルト4種をご用意したよ、さあさあ。カレーのスパイスは鼻の奥をくすぐるしじみの香りを打ち消しそうなので、チャラチャラ流してチャオプラヤー。迷い迷いに迷った時にはヤケのヤンパチ陽ヤケのしじみ、迷った道筋ラーメン屋。

しかしダコのカメラマンはしじみカレーをうまいうまいと喜んで頬張っていた。
豚は毛だらけ、しじみはコロコロ、キャベツハタチで嫁にゆく。

「しじみラーメンセット」。撮影に時間がかかると麺がのびるから自費で別に注文する。2リットルの水に酒と昆布と小さいしじみを1キロごそっと入れて豚出汁を加え、麺は日本からの輸入もの。トッピングにはキャベツとしじみの酒蒸しときた。さあ食うぞ。なぜこんなに期待に胸を膨らませているかというと、私、青森県生まれ。)

しじみニンニク酒蒸し
見上げたもんだよ屋根屋のふんどし、たいしたもんだよしじみの香り! しじみの香りが肝の臓。出汁は胃から腸へと流れます。そこで血となり肝の臓。トッピングの酒蒸ししじみと麺を一緒に噛めば、しじみを練り込んだような特注の中華麺。これで食べてもらえなきゃ、私、稼業三年の煩いと諦めます。ねえ、東へ行ってエカマイ、西に行ってプルンチット。西と東の泣き別れだ、おい! どう! トロ巻き寿司茶碗蒸しついてまかった数字がひと声2000円と行きたいが、ダメか。1800円、1500円、よし、腹切ったつもりで1100円。食べてけ、さあさあ。

一時帰国すると朝は必ずしじみの味噌汁。だって毎晩同級生らと痛飲し、肝臓を痛めてつけるから。もう少しラーメンのタレの味が薄い方がしじみの香りが活きるかな、黒胡椒は入れすぎかもと思いながらもタイ人なら濃い方が好みかな
白く咲いたがゆりの花。忘れちゃいけないブーゲンビリア。あなた百まで私九十九まで。お酒は二十歳になってから。お酒が人をダメにするんじゃなくて、人間元々ダメなものと教えてくれる年の瀬忘年会。あたしゃ蕎麦よりあなたのおそばに。共に白髪が生えるまで、翌日にはあなたと山菜がのったしじみ蕎麦を食べたいわ。しみじみしじみの山菜蕎麦。さくらあ、今、しあわせ貝?

朋友のタイ人板長にどのしじみ料理が好き? と聞いてみたらラーメンと山菜そばとのこと。さすが!
「しじみ祭り」12月31日まで。
「Shijimi Ramen Set」(330B)、「Shijimi Soba Set」(290 B)、「Shijimi Udon Set」(290 B)、「Shijimi Tempura Curry Set」(350 B)、「Shijimi Garlic Sakamushi」(280 B)、「Shijimi Miso Soup」(140 B)など。
朋友 HOU YUU
時間 11:30~14:00、17:00~21:00
場所 バンコク・アソーク通りのオフィスビル「GMMグラミー・プレース」内
電話 02-665-9898
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