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先日タイ・バンコクで初開催となった「U-12 ジュニアサッカーワールドチャレンジ South East Asia Qualifiers」。その名のとおり、日本で開催されている大会「U-12 ジュニアサッカーワールドチャレンジ」の東南アジア予選です。
U-12 ジュニアサッカーワールドチャレンジとは……
毎年8月に日本で開催される12歳以下の選手による国際サッカートーナメント。若い選手たちがより高いステージでプレイすることを目的とし、2013年より実施されている。FCバルセロナ、リバプールFC、ACミラン、マンチェスターシティなど名だたるユースアカデミーも出場することで話題を集めており、今年2019年にはFCバルセロナとバイエルン・ミュンヘンの出場が決定。さらにナイジェリア代表、中国予選の優勝チームなど世界中のチームが参加する。
そして今年、東南アジア予選も満を持して開催。優勝チームには「今年8月に大阪で開催されるU-12 ジュニアサッカーワールドチャレンジへの出場権」が与えられるのです。し、しかも! その航空券、宿泊費、交通費もろもろの費用もすべて主催者持ち! いや~~夢があるなぁ!
タイの有名クラブのジュニアチームがこぞって参戦
ということで、少年たちのサウスイーストアジアドリームを見届けるべく、決勝戦(と3位決定戦)を観に行ってきましたよ。
こちらの会場はタイサッカー協会の施設で、普段はプロのユースチームの育成・練習場として使われているとのこと。
さっそく、出場チームとこれまでの試合結果をチェックすることに。
タイ、マレーシア、シンガポール、日本から24ものチームが出場していた。開催国なので当然ではあるがタイが多め。
ぼんやりトーナメント表を眺めていると、ブリラム・ユナイテッドやらポートFCなど、タイリーグでおなじみのジュニアチームの名前が! タイサッカーも盛り上がってきているもんなぁ。
決勝戦はポートFC 対 SISB
そして気になる決勝のカードは……
ポートFC 対 SISB!!
ポートFCはスクムビットにほど近いクロントゥーイにホームを置くチームで、友達にもサポーターがいたり、試合を観にいったこともあったのでなんとなく思い入れのあるチーム。対するSISBは名前を聞いたことがなかったので、「どこかの街チームかな」くらいの印象だった。
このときまでは。
いよいよ決勝戦スタート! 開始5分後、まさかの……
そして、まだ日もサンサンと降りそそぐ午後4時。いよいよ決勝戦がキックオフです。
12歳以下ということで子供の大会だと思っていた私はここでまずびっくり。
大人、混じってないかい……?
しかし、自分が小学生だった頃を思い返してみれば、この年齢の男子は成長度合いもまったくバラバラだったな、と。
大きい子もいれば、まだまだ小さい子もいて、そんないろんな成長過程の子たちが一緒にプレイするというのはこの年代ならではなのではないかと思う。それにしても大きい子はまるで大人のようだ。
そんなことをボーっと考えながら試合を見ていたら突如事態は急変!!
「ギャーーーーーーーーーー!!!」
割れんばかりの歓声を上げる父兄。 え、え、え、まだ開始5分だぞ。何が起こった!? と冷静に思い返すと、なんとSISBのゴールキーパーが蹴ったゴールキックが、そのままポートFCのゴールネットを揺らしていたのだった。
なんということでしょう。
12歳以下の試合ということでそもそもコートが小さめ。そのため試合展開がすさまじく速く、ときにゴールキックがそのまま得点につながるというミラクルも起こるのだ。
その後の試合も超白熱!
試合展開が速いためひとときも目を離せない。にしても、SISBはうまいのはもちろん、全体的にみなぎるガッツがすごい。なじみがあるからと心の中ではポートFCをひいきに見ていたが、自然とSISBのプレイにも目を奪われるように……。
優勝はSISB! その驚きのチーム背景とは
その後も熱い試合は続き、追加1点をとったSISBが優勝!! 表彰式では、トロフィーの授与、そして日本行きのチケットが送られていました。子供達は大喜び! みんなで日本に行けるなんて、本当にすごい経験!!
「いや~いい試合だったなぁ。SISBって聞いたことなかったけど、強いんですねぇ」
「でしょう。その背景を聞いたら、さらにびっくりしますよ」
そう話してくれたのは本大会にスタッフとして関わっていた小倉敦生さん。
「実はね、彼らはボランティアで運営されているサッカー練習場のメンバーなんですよ。だから、本当にお金がない家庭の子もいて」
そういえば、私も以前別件で取材に行ったことがあったのだ。
チャーンビールが建てたサッカー練習場で、ボランティアによって13年運営されているサッカーサークル。そこでは、家庭の経済的な事情でクラブチームに入ることができない子供もサッカーを練習していた。
SISBはそのボランティアサッカーサークルから生まれたチームだったのだ!
(聞いたところによると、SISBは協賛してくれた企業の名前で、今回恩返しの意味を込めてチーム名にしたそう)
ボランティアで結成されたチームがクラブチームを破り日本行きの切符を手にする。
なんというドラマ。
最後にそんなタネ明かしをされて、胸がアツくなったのでした。
東南アジア予選は今後毎年開催されます!
月並みですが、試合を見て、改めて「スポーツっていいな」と思いました。
試合だけじゃなくて、心に残った風景があります。それは、敗退したチームのメンバーが食い入るように決勝戦を観ていたその後ろ姿。
「U-12 ジュニアサッカーワールドチャレンジ South East Asia Qualifiers」はこれから毎年バンコクで開催されます。この大会はウォークインで観戦できるので、来年はみなさんもぜひ、足を運んでみてほしいです。
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