先日、ヨード経由で、格闘技の試合でタイ語通訳のお話をいただいた。日常会話はできるけど、さすがにインタビュー通訳はできないよ、と言ったら「ムエタイ選手は難しいこと言わないし、ファンの皆様に一言と、調子はどうですかぐらいだから大丈夫」と言うので、うっかり引き受けてしまったら、さぁ、大変。
試合前日の記者会見では、選手の後ろについて、その場で通訳。会話と違って聞き直しがきかないし、言ってることがわかっても、それを瞬時に日本語変換するのが大変。「ディー・ジャイ」も「うれしいです」と訳しちゃったけど、ほかの言語の通訳の方が「光栄です」と訳していて、「光栄です」だよなぁ、とか。
さらに試合当日は、選手入場のリハーサル手順の通訳も担当。花道の立ち位置まで進み、名前を呼ばれてプシュッとスモークが出たら、リングに上がる。セコンドは後から入場です、という段取りも、スモークってタイ語で何だっけ? と身振り手振りで説明。
そして、本番。選手入場時に1人のセコンドが一緒についていってしまい、なぜ!? と思ったら、彼は日本人で、そうだ、後から来た彼に日本語で説明するの忘れてた(涙)。
試合後は、リング上で勝利者インタビュー。さすがに試合直後ということもありコメントは短めだけど、こんなにお客さんがいる大舞台でマイクを握る経験なんてないし、超緊張。しかも、マイクで話すと、自分の話している声と聞こえる声が、変な感覚で入り混じり、うまく話せなくなり、不思議なイントネーションに。20年ぶりに会った昔の仲間に、「日本語が下手になったんじゃない?」とからかわれるほど。
翌日は、試合後の記者会見に、その後も取材が次々と。自分もムエタイをやっていたので、ある程度の内容は分かるけど、ヨードとか、ほかの在日タイ人のように、日本人と話し慣れているタイ人と話すのと、ほぼ初めて日本人と話すタイ人と話すのとでは難易度もかなり違う。
あー、ほんと緊張した。
下関崇子/ムエタイ修行のために来タイした元プロキックボクサー。タイ人トレーナー、ヨード氏と結婚し一男一女の母に。2006年6月、6年間のタイ生活に終止符をうち一家で日本へ。草の根の日タイ交流、続行中!