鹿児島の郷土料理「鶏飯(けいはん)」に出合ったのは、ソンクラーン休暇で訪れた屋久島でした。縄文杉トレッキングで足腰がボロボロ、朝起きても疲れがとれず食欲もなく、コーヒーだけでも飲もうとレストランに行ったところ、炊飯器の周りに具や薬味が並んだコーナーが目につきました。豪勢なお粥かと思ったらそれが鶏飯でした。
少しでも食べてみようと大きめの茶碗に熱々のご飯をよそいました。ほぐした鶏肉や錦糸卵、甘辛く煮込まれたシイタケや漬物など、好みの具をひとつひとつトッピングしているうちに、食欲がなかったことなど忘れて、あれもこれもモリモリにしています。薬味もたっぷり、柚子の皮にもテンションがあがります。仕上げのチキンスープをなみなみと注いで完成! 混ぜ混ぜして口に入れると、初めて食べたのに懐かしくホッとする味です。
どうしてこんなにおいしい料理が全国で知られていないのでしょう? 私が無知なだけ? そんな衝撃を受けながらお腹いっぱい食べて、すっかり元気を取り戻しました。食べ物がパワーをくれると実感した旅行でした。
<材料>4人分
鶏肉(腿と胸の両方またはどちらか) 250g
干しシイタケ 4個
砂糖 小さじ2
ヤマモリ 特級しょうゆ(シイタケ煮用) 小さじ2
錦糸卵 1個分
青パパイヤの味噌漬(沢庵や奈良漬けでも可) 適量
ネギ、ゴマ、海苔 お好みで
ライム(マナオ)の皮 少々
焼酎(なければ料理酒) 大さじ1
ご飯 4杯分
水 1ℓ
塩 少々
ヤマモリ 淡口しょうゆ 大さじ1
<作り方>
①鶏肉と水を厚手の鍋に入れて火にかけ、沸騰したら中火で5分、火をとめて蓋をしてゆっくり冷まします。冷めたら身をほぐしましょう。
②干しシイタケを戻して軸を取ったら薄切りにします。戻し汁と水を同量合わせて1カップ(分量外)、砂糖と特級しょうゆで甘辛く煮ます。
③パパイヤの味噌漬を薄切り、ライムは皮を削ぐようにカットし、錦糸卵やその他ゴマ、海苔、ネギなどお好みの薬味を用意しておきます。
④鍋に残った鶏の煮汁のアクを取り除いてから熱し、淡口しょうゆ、焼酎、塩で味を調えます。具を乗せた温かいご飯の上にスープを注いでどうぞ。
\ ポイント /
奄美群島が発祥で、青パパイヤを味噌漬けにするのと、柑橘類の皮を入れるのが特徴です。タイで青パパイヤに親しんでいるととても親近感を覚える料理ですね。ライムは、苦みが出るので表面をごく薄く削いでください。大人数でしたら、ご飯だけ器によそって、具と薬味を並べて、好きなようにトッピングすると楽しいのではないでしょうか。時間がない時やお1人様分をさっと作りたい時は、チキンスープの素などを使って、冷蔵庫にあるもので作ってもいいでしょう。手をかけてスープをとったら美味しいのはもちろんですが、鶏飯(けいはん)を全国の人に、いえ、タイにいる人にももっと知って欲しいので、まずはお手軽に試して欲しいと思います。
\ 今回のレシピにヤマモリ!/
鶏飯は、なんといってもスープがおいしさの要。鶏の風味を引き立てるには、上品な香りで、ご飯や具が澄んで見えるうす口しょうゆがいいでしょう。うす口は、濃口に比べて色は薄いですが塩分は多いので、味見をしながらスープの味をきめてくださいね。