書き手 前田千文(経営者)× ポーンサック・ルーサックタナゴーン(経営者)
マイ・バディ
「え? まだ6年でしたか?」。この取材の帰りに彼と交わした言葉である。もうずいぶん昔から、何十年も前から一緒に仕事をしているような気がする。
出会いは、ソーソートーの労働法のセミナー会場だった。一受講者と通訳者という関係。彼とは、日本語の通訳者として出会ったが、経歴を聞けば工学部出身で完全な理系人間である。元々は日系メーカーのエンジニア。これはあくまでも彼の持つ「1つの顔」にしか過ぎない。
ある時は「敏腕通訳者」、ある時は「異文化論の先生」、ある時は「経営者」……。人によって彼の印象と職業はバラバラであり、まるでジグゾーパズルのように多彩で多様な立体を構成する傑物だ。
2015年から当社の経営戦略会議の通訳もお願いしているが、私以上に私らしい、まるで乗り移ったような……。私の発する言葉を訳してくれているのだが、そこは通訳しているという域を超え、完全に「マイ・バディ」、あたかも私の分身のようである。私の心が見透かされているような、予知されているような感覚。
彼にはいつも助けてもらってばかりいるので、今後は少しでも彼のレベルに並ぶように、と猛省している。
(提供:Canon)
タイ在住の日本人が縁あってこの地で知り得たタイ人の友人知人仕事仲間を自慢するコラムです。
(ダコタイ語版ウェブに翻訳されて転載されます)