書き手 Ginn(音楽レーベル「dessin the world」オーナー)× プット(ワーキングスペース「Good Space」オーナー)
モップがけしていた男は店のオーナーだった
新しくオープンしたライブハウスの扉を開けると、モップがけしている男がいた。バンドの世話をし、音響システムも操作している。それがプットだった。「HARMONICA」という看板が掲げられた店のオーナーだ。
タイにはインディーズバンドもリスナーも数多くいるのに、その双方が出会うライブハウスが少ない。経営が難しいのだ。「HARMONICA」も果敢にチャレンジし続けたが2014年に閉店した。ただ、現在のインディーズシーンで活躍しているバンドの多くはここのステージを踏んでいる。あの時期、確かに、次世代を担うバンドがプットの「HARMONICA」で胎動していた。
ボク自身、タイと日本の音楽交流を目的に活動する中で、行き詰まることが多々ある。そんなときプットはいつも言う。「10年、20年と続けていくんだ。今はそこに至る過程」。この言葉に何度救われてきたことか。
今はワーキングスペースを経営しているプット。バンド活動もしており、ボクもサポートドラムとして一緒に音を鳴らしている。今年は良いイベントへの出演も次々と決定し、少しは彼に恩返しできた。プット、爺さんになっても一緒に音を鳴らそう。
(提供:Canon)
タイ在住の日本人が縁あってこの地で知り得たタイ人の友人知人仕事仲間を自慢するコラムです。
(ダコタイ語版ウェブに翻訳されて転載されます)