バンコクひと巡り

〈 バンコクひと巡り 〉特別編 シリル・コピーニ

尻流複写二(シリル・コピーニ)
フランス人落語パフォーマー
三十五回続いた「ひと巡り」の最終回にして特別編です。編集部の沼舘幹夫がフランス人落語パフォーマー、シリルさんについて書きます。

 

座布団を取り合う

フランス在住経験のある友人から紹介されたのがフランス人落語パフォーマー、尻流複写二(シリル・コピーニ)さんだった。チェンマイ、チェンライをまわって去る2月8日、バンコクの日本人会別館で一席ぶった。

フランス人で落語? ラジオ・テレビで幅広く活動している? フランス人なのに落語という珍しさでチヤホヤされているだけじゃないのか、とフランス人よりシニカルに構えていた。お会いする前までは。

口演の前日、お会いしてみると誠実そのもの。フランス国立東洋言語文化研究所で日本近代文学の修士号を取得。浅草のビートたけしの古巣に毎月出演。なんと母国ではフランス語で落語を演じているという。

文語と口語と落語の関連性、文学として落語を研究していたパリでの青春期、来日後、テレビで初めて見た落語が「笑点」。「僕が長年勉強してきたことは座布団の取り合いだったのか」と愕然とした話、日本人客とフランス人客の前で演じ分ける落語、笑いから見た国民性、これらをすべて落語の枕のように噺すものだから、もうたまらん。

日本人会別館での高座はほぼ満席。枝雀が好きというシリルさんは愛嬌たっぷりで、会場を大いに湧かせてくれた。

今度は人情噺に挑戦したいという。「フランス人なら、『シェルブールの雨傘』みたいな人情噺を」とのリクエストに「マダム・カトリーヌ・ドヌーヴ」の来日秘話をテンポよく語ってくれた。

読者の皆さま、来年早々、ダコでもお呼びしたいと思っている次第です。

 

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