男と女の学際研究 ~現役学者が微笑みの国を考察!~
5人の現役研究者が「日本男とタイ女」をテーマに、いろいろな角度から考察する連載コラムです。
今回の著者:環境工学 岡寺智大
離婚する日本男とタイ女が急増中
これまで、特に婚姻やモテ度といったデータを用いて、「出会い」という側面から日本男とタイ女の関係を観てきました。しかしながら、出会いには、「別れ」という避けては通れない道があります。とはいえ、別れ方は千差万別と思いますが、今回は「離婚」に着目して、日本男とタイ女の別れについて考えてみましょう。そこで、厚生労働省の人口動態調査のデータから離婚に関連するグラフを作成してみました。
まず、日本男・タイ女の離婚件数(青色折れ線)をみると、2016年現在、525組の夫婦が離婚をしています。統計で確認できる最も古い1992年の同離婚件数は171件ですから、現在の離婚件数は20年ほど前の3倍に増えています。ただ、同期間の離婚件数の推移を見ると、2006年(867件)を境に減少に転じていますので、10年前と比較すると、半減まではいきませんが、3~4割は減っています。
また、日本男・タイ女の婚姻件数に対する離婚件数(離婚率;橙色棒グラフ)を計算すると、2016年の離婚率は54%となり、婚姻件数の半分に相当する夫婦が離婚に至っています。1992年の同離婚率は11%ですから、離婚率はこの20年で、実に5倍に増えています。ちなみに、離婚率が最も高かったのは2010年(68%)ですが、同年は離婚件数と婚姻件数の減少期にありますので、婚姻件数の減少が離婚率を高めた要因と考えられます。
日本人同士の夫婦の離婚率(灰色棒グラフ)も求めると、2016年には、婚姻件数の34%に相当する夫婦が離婚しています。尚、1992年の同離婚率は24%ですので、日本人同士の離婚率も増加傾向にありますが、日本男・タイ女の離婚率と比較すると、緩やかな増加といえます。また、現在の日本男・タイ女の離婚率は、日本人同士のそれに比べ20ポイントも高いですが、1992年時点では日本人同士の離婚率の半分以下であった事を考えると、日本男・タイ女の離婚が急激に増加しているといえます。
ちなみに、2001年以降、日本男・タイ女の離婚率が、日本人同士の離婚率を上回っていますが、2001年は奇しくも日本とタイの所得格差が縮まる転換点でもあり、経済的理由が離婚の要因となっているのかもしれません。