お店の扉を開けると、外観とは結びつかないスタイリッシュな空間とオレンジ色を輝かせるガラス瓶。入口右手には薬屋の面影を残す柄杓(ひしゃく)などの道具がディスプレイ。中国文字の看板など、料理を食べる前からワクワクさせてくれる独特な空気が漂っています。そんな新旧が同居する建物で、パムさんが伝えたかった物語とは。
1階はお客さまの待ち合いスペース兼、紅茶を発酵させて作る「コンブチャ」を専門としたバーフロアです。私自身、デトックス効果や免疫向上に繋がると言われるコンブチャが好きで、皆さんにもぜひ味わってほしいと取り入れました。リンゴなどのフルーツ系や梅、コーヒー、抹茶など常に10種前後を揃えています。
2階はカジュアルなダイニングルーム、3階は席数が限られたプライベートルームで、両フロアを合わせて35席のご用意となっています。そして4・5階はバーと、各フロアによって役割やコンセプトが分かれています。もともと料理だけでなく、この建物を生かした〝体験〟をお届けしたいと考えていたので、ギャラリーのように建物の歴史や過去の思い出がスマホを通して共有できるというのは「Potong」ならではの特徴です。
当店のおすすめの楽しみ方は、まず1階のコンブチャバーでひと息。その後、店内に備え付けられた旧式の木製エレベーターで一気に5階のバーへ。下のフロアとは異なる空間なのでその雰囲気を体感していただいたり、食前酒を味わっていただくのも一つ。加えてキッチンも見学可能なので、自家製の発酵群や調理の様子を見ていただいた後に、ゆっくりと食事を楽しんでいただければと思います。ある意味、Potongツアーとも言えるのでしょうか。私の家族にまつわる物語に多くの方々が興味を持ってくれ、誇りに思います。準備に2年以上の期間を要したかいがありました(笑)。
原点は母の味。進化するタイ中華を生み出し続けたい
私が料理人を志したのは、チュラロンコン大学・コミュニケーション学部に在籍していた頃です。進学したものの「自分がやりたいことはこれじゃない」と思い、卒業後は料理の道に進もうと、まずタイのル・コルドンブルーで基礎を学びました。当時は、女性に向けたお菓子を作りたいと思っていたのですが、私は幼少期からチャレンジ精神旺盛で。お菓子以外(未知)の領域に挑戦したいと技術を磨いてきました。
当時、ニューヨークのミシュラン3つ星レストランだった「ジャン・ジョルジュ」での修行時代、「トップ・シェフ・タイランド」の審査員や料理番組などさまざまな現場を経て今の私があります。ただ、その原点となるのはやはり母との思い出ですね。母はプロではありませんでしたが料理を作ることが大好きで、私は物心ついた頃からそんな母の料理を食べて育ちました。料理への情熱が強く、知らない食材があればすぐに買いに走るなどとてもパワフル。私のチャレンジ精神は母譲りでしょうね(笑)。
そんな母の料理の記憶を抱えながら、常に新しいアイディアを求めています。訪れた旅先で地元の人に話を聞いたり、ヤワラートで伝説と言われる屋台料理を食べに行ったり、日々研究です。
パッタイやガパオ、ラートナーといった「タイ中華」は、今や多くのタイ人にとってタイ料理に近い存在ではないでしょうか。タイ料理と中華、そして私自身の経験を融合させて、これからも〝進化するタイ中華〟を皆さんにお届けしていきたいと思います。
Restaurant Potong
住所 422 Vanich 1, Samphanthawong
(MRTフアランポーン駅から車で10分)
電話 082-979-3950(英語可)
時間 17:00または18:00〜の回を選択可能
WEB www.restaurantpotong.com
Facebook @potong
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