グルメ

【北タイ料理】タイ北部の文化も一緒に伝えたい。「Maan Muang」インタビュー

Owner:カヌンニット・テープピタック(オーさん)

 

かつてタイ北部・チェンマイを中心に栄えたランナー王朝。食や建築、装飾など独自の文化を築いた同エリアに、「マーン・ムアン」の2代目オーナー・オーさんの出身地・ランプーン県はあります。麺料理を筆頭に隣国・中国の影響を受け、現地ならではのハーブや野菜を使った郷土料理が楽しめる同店でオーさんが掲げるテーマとは?

北部に根づく藍染の伝統衣服を身に纏ったスタッフたちが店頭に立ちます

 

私がお店を引き継いだのは、今から7年前です。幼少期はランプーン県に住んでいたのですが、バンコクでビジネスを始めることを機に移住してきました。「なぜラムカムヘンに?」と聞かれることがあるのですが、もともとラムカムヘンに家を持っていたんです。当初は祖母と叔母がこのエリアでカーテン屋を開き、ランプーン県の名産であるクラフト生地を使った商品を販売していました。ただ、世界的な恐慌によりタイ国内は一気に節約モードになり、カーテンを買う人が激減したんです。このままでは経営が厳しいと2人が考え、新たにオープンしたのが「マーン・ムアン」でした。

特別なレシピではなく、祖母が日々家で作っていた家庭料理がもとになっています。バンコクには北部から働きに出てきている人が多くいて、故郷の味を恋しがっていると聞いていたので、気取らず毎日食べられる家庭料理が求められていたんです。故郷に帰れなくても、「マーン・ムアン」に来ればホッと安心できるような場所になればいいと、お店は昔ながらの木造建築で、ランタンなど北部の文化を感じられる造りになっています。加えて、北部出身者ではない人たちが北部の文化を知るきっかけになるようにとも思っています。

元来、北タイ料理は野菜を多く使い、ヘルシーと言われていますが、特に当店ではオーガニック野菜にこだわり、砂糖はほぼ使わないなど健康意識の高い方々にも好評です。

フレッシュなハーブは食べ放題

 

また、料理に使うハーブとスパイスはすべて現地で採れたフレッシュなもの。バンコクでも購入することはできますが、自然に囲まれた環境で育てられたものは香りや鮮度が違うと考えています。なかでも北部で生まれたチェンダーと呼ばれる野菜や、マクウェンという北部でよく使われる山椒、茹でた大豆を塩などと合わせて発酵させ、潰してペースト状にした後に天日干しにした発酵調味料トアナオケープなど、稀少な食材・味わいをご提供しています。

同店で使われるハーブとスパイスはすべて北部・ランプーン県から調達。「自然に囲まれた場所で育っているため、鮮度と香りが違うんです」とオーナーのオーンさん

北部で使われる伝統的な発酵調味料トアナオケープ(手前)

 

そして前述しましたが、料理と一緒に感じていただきたいのがタイ北部の文化。店内にはランタンや伝統的な傘に加え、祖母がコレクションしていた昔ながらのホーローの食器などを飾ると共に、北部のカントリーソングを歌うライブイベントも開催しています。

また、タイ正月(ソンクラン)である4月16日は日本で言うところの大晦日なのですが、北部ではジャックフルーツ入りのカレー「ゲーン・カヌム」を縁起物として食べることをご存じですか? 当店でも16日限定で振る舞っているのですが、バンコクでは珍しいこともあり1日500食の注文が入るほど人気なんですよ。元旦にあたる翌日は、「今年1年、いい年になりますように」とバナナのつぼみを使ったスープ「ゲーン・フアプリー」を提供しています。

実は、当店を引き継ぐ前は日本航空に勤めており、日本語も少しですが話すことができるので、北部の料理はもちろん行事や慣習についてもお気軽にお尋ねください。

マーンムアンの料理についての詳しい記事はこちら

Maan Muang

住所:165 /7 Mooban Summakorn,Soi Ramkhamhaeng Rd.
(ARLラムカムヘン駅から車で15分/BTSエカマイ駅から車で20分)
電話:093-635-4622(日本語可・オーンさん)、02-729-6275(タイ語・英語)
時間:毎日9:00~21:00(L.O.20:30)
Facebook:maanmuang
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