日本同様に、さまざまな麺料理が展開されるタイ。特に、日本人の間ではタイ風ラーメンとも呼ばれる「クイッティアオ」は、麺をはじめ、さまざまなバリエーションが楽しめるのも特徴です。そのなかで、今回取り上げるのが「ボート・ヌードル(クイッティアオ・ルア)」。その歴史や起源、そして今タイ人に人気を集めるお店とは。
※「ルア」はタイ語で船の意味。
船上から陸上へ。タイの発展と歴史を味わう
かつてチャオプラヤー川やそこから派生する運河を筆頭に、船が人々の主要な交通機関として多用され、盛んに交易が行われていた時代。人々が集まる場所として船上でクイッティアオを販売する商人が現れたことが「ボート・ヌードル」の発祥と言われています。チャオプラヤー川を北上した場所にあるアユタヤは、多くのボートヌードル店が集まるエリアとしても知られています。
特徴的なのは、豚の血を使ったスープとその小さな器。1人乗るのがやっと、という船上で調理すべてを行わなければならず、提供する時に器が大きいと渡しづらいため小さな器が選ばれていたのだそう。人々の足が運河から離れるにつれ、商人は船上ではなく陸上に居を移し、現在は屋台からレストランまで幅広いお店を利用することができます。
商業施設を中心に展開する専門店
そんなボート・ヌードル専門店として、近年タイ人の間で話題を集めるのが「ThongSmith(トーン・スミス)」。2018年にセントラル・エンバシーで開店した後、エムクオーティエやサイアム・パラゴンなど商業施設を中心に13店舗を展開しています。
「当店は、ボート・ヌードルが大好きだった友人同士が共同オーナーとなり、立ち上げました。伝統的なスタイルは残しつつ、自分たちがこれまでに食べてきたボートヌードルの記憶を集結したオリジナルです。麺の種類や辛さが選べるので、子どもから大人まで楽しんでいただけます」(同店オーナーの一人、カーンさん)。
旨味溢れる濃厚スープと存在感抜群の和牛&プレミアムポーク
同店のボート・ヌードルでひときわ目を引くのが、器にドンと盛られたオーストラリア産・和牛。その鮮度の良さはもとより、リブアイや牛タンなど複数の部位を取り扱い、肉料理を食べているような満足感を味わうことができます。
さらに、ビーフボールやポークボール、レバー、ホルモンなど選べるトッピングも充実。この他、黒豚をはじめとしたプレミアムポークを乗せたボート・ヌードルに加え、豚の血が苦手という方に向けたクリアスープやお肉と楽しむご飯ものなど30種前後のメニューがあるのも嬉しいポイントです。高いものだと500Bを超えることもありますが、日本のプレミアムラーメン同様、タイの食通の多くがリピーターになっているのも納得の1杯。
「当店で使うお肉は、質にも衛生管理にもこだわった農場から仕入れる特別なもの。事前に工場を見学し、いつ生まれ、どのくらいの期間で熟成され、どのようなルートで私たちのもとに届くかを検証し、選び抜きました。スープは豚骨をベースにじっくりと煮込み、新鮮な豚の血を加えることで濃厚かつ、くどくない豊かな風味を感じてもらえるよう数ヶ月をかけてオリジナルレシピを生み出しました。『一度食べると忘れられない』と言っていただくこともある、自慢のスープです」。
同店が現在店舗を構えるのはタイ国内のみですが、ボート・ヌードルという食文化を伝えたいとタイ近隣諸国をはじめ香港、中国、ロンドンといった海外展開を計画中。トムヤムクンやパッタイ、カオソーイなど世界的に知られるタイ料理への仲間入りを目指し、挑戦を続けていきます。
ThongSmith
場所:本店 Central Embassy 5F / 支店 The Emquartier 7F 他
電話:02-003-6226(タイ語・英語)
時間:毎日10:00~22:00(L.O.21:30)
Facebook:@Siameseboatnoodles
Instagram:@thongsmith
LINE:@487btdti
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