グルメ

<タイ料理を巡る旅>建物と料理が呼応するタイ中華の新概念「Restaurant Potong」vol.07

タイ料理には「タイ・チャイニーズ(タイ中華)」と呼ばれるジャンルがあります。パッタイやガパオ、クイッティアオなど私たちが普段気軽に食べているタイ料理も実はその一つ。そんな既存のイメージを覆す新しいスタイルを体験しに行きませんか? 五感をフル活用しても足りないほどの、未知なる出会いを求めて。

 

築120年超、祖父の薬屋をリノベーション

バンコクを代表する観光スポットとして、日々往来が絶えない中華街「ヤワラート」。そんな活気と喧騒が入り混じる大通りから1本入り、商店がひしめく路地裏に「Restaurant Potong(以下Potong)」はあります。

Restaurant Potong

タイ・チャイニーズをコンセプトに、お店を構えたのは2021年10月のこと。オープン1年足らずにも関わらず、多数の賞を獲得。多くのメディアに取り上げられる同店を牽引するのが、気鋭のシェフ・パムさんです。ニューヨークにあるミシュラン星常連のモダンフレンチ「Jean-Georges(ジャン・ジョルジュ)」で研鑽を積んできた彼女が、この路地裏を選んだ理由とは?

すべてのゲストを迎える1階は、まるで実験室のようにガラス瓶が並ぶスタイリッシュなデザイン。待っている間に自家製コンブチャが振る舞われます

Restaurant Potong

2階はカジュアルなダイニング空間。色鮮やかなステンドグラスが落ち着いた照明の中に映えます

 

「このお店は、かつて家族が中国から移り住んできた時に初めて持った家で、築120年を超えています。以前は祖父がこの場所で薬屋を営んでいましたが、閉店後、何にも使われず眠っていたんです。いざ自分のお店を出そうと考えた時に、ふと浮かんだのがこの場所でした。私たちの家族の歴史と祖父の薬屋時代の思い出が残る5階建てのビル。雑多なヤワラートと歴史を重ねてきた古いビル、そして最新のファインダイニングというコントラストが面白いなと」。

3_Restaurant Potong

中国式の装飾が特徴的な3階はプライベートを重視した空間。外を望める半屋外のベランダ席もあります

 

お店全体のコンセプトとして掲げるのは、「新旧の同居(Juxtaposition)」と「記憶に残る体験」。中国とポルトガルの造りが融合したシノ・ポルトギース建築や祖父の薬屋時代のアイテムを生かしながら、料理だけではなくここでしかできない体験を提供したいとお店をスタートさせました。

4_Restaurant Potong

キッチンスペースの一角には醤油や酢、味噌など発酵を生かした調味料やピクルスなどがズラリ。
独学で導き出したというパムさんの探究心が垣間見えます

 

Potongの料理に込められた5つの要素とシェフの記憶

Potongで提供されるのは、全20品のテイスティングコース(4500B)のみ。訪れた人たちをいかに満足させられるかは、シェフの手腕とアイディアにかかっていると言っても過言ではありません。パムさんがコースを考える際に最も大切にしているのが、「特別で非日常的な体験と思い出をいかに提供できるか」ということ。料理の味だけでなく、五感を通してPotongを体験してほしいと願っています。

Restaurant Potong

【beautiful】 local-line-caught seabass / chinese long bean / herb salad
タイ南部で採れたシーバスに十六ささげやハーブを添えて。甘味と塩味、酸味を含い、ヤムのようにサッパリと食べられます

Restaurant Potong

【simple】 thasala chocolate / cashew praline / fermented lime
アルミホイルに包まれたチョコボールをイメージしたデザート。金色の球体を割ると、中からはライムのシロップ漬けやナッツが登場。添えられたチョコレートムースやアイスと一緒にどうぞ

 

そんな彼女が生み出す料理は、私たちがタイ・チャイニーズと聞いて連想するものとは全く異なる、初めての出会いばかり。研究熱心な彼女は独学で「発酵」について勉強し、醤油や酢、味噌などお店で使う調味料はすべて自家製という徹底ぶり。

加えて、彼女の料理に欠かせないのは塩・酸・スパイス・食感・メイラード(香ばしさ)という5つの要素。そして自身の記憶だと言います。幼少期に食べた思い出の料理や旅先で出会ったひと皿、母の味……など一品ごとに込められたメッセージが、時空を超えた非日常のひとときへと連れて行ってくれます。

Restaurant Potong

ココナッツを使った4種のアラカルトプレート。ココナッツミルクに南部名物のガピ(エビ味噌ペースト)やサトー豆を使った個性的な一品や、燻製マンゴーやライム、パクチーと合わせた“ココナッツミート”など食材や名前を聞くだけでワクワクしてきます

Restaurant Potong

【potong】 corn custard / sweet corn butter / toasted brioche / smoked salt
パムさんが子どもの頃に大好きだったパンとコーンバターを合わせた焼き菓子

 

他では出会えない料理を求めて、Potongの予約は数ヶ月先まで埋まることもしばしば。ミシュラン星獲得の有力候補という噂もあり、今後さらに予約が取りにくくなること必至です。混み合う前にぜひ訪問を。4・5階にはレストランとは別に設けられたバースペースがあるので、「まずお店の空気に触れてみたい」という方はバーから試してみるのも◎。
まだ齢33歳。彼女のこれからに目が離せません。

「祖父母に当てた手紙」をコンセプトにしたメニュー表。表にはパムさんの叔父さんによる絵が描かれており、持ち帰りできるのも嬉しい

Restaurant Potong

場所:422 Vanich 1, Samphanthawong
(MRTフアランポーン駅から車で10分)
電話:082-979-3950(英語可)
時間:17:00または18:00〜の回を選択可能
WEB:www.restaurantpotong.com
LINE:@potong
Facebook:restaurant.potong
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