大ヒットしたBLドラマ『Lovely Writer The Series(2021)』に主演し、タイで注目の俳優の一人・Up Poompat(通称アップ)さんにDACOが単独インタビュー! 俳優からアーティストへと挑戦の場を広げる彼について。
自分の殻を壊し続ける27歳。
俳優とアーティストの二刀流へ
ー俳優を志したきっかけは?
チュラロンコン大学コミュニケーションアーツ学部に在籍していた1年生の頃、所属していた事務所でCMのサブキャストを頂いたことを機に仕事が増え、初めてドラマの仕事をする機会があったんです。そのドラマはシリーズものだったのですが毎回役が変わり、そのたびに新しい物語のキャラクターになることができる。楽しくてチャレンジングで、どこまでも成長し続けることができる。最高の仕事だと思いました。この機会を与えてくださった多くの方々に感謝しています。
ー演じる上で大切にしていることを教えてください
一番大切だと思うのは、俳優自身が仕事に責任を持つこと。と言っても難しいことではなく、時間をしっかりと守ること、現場での課題をクリアすること、といったシンプルなことです。自分が演じる役を理解し、どうしたら見ている人に伝わるかを考える。すべては最高の作品をつくるためです。
ーW主演のBLドラマ『Lovely Writer The Series※』が大ヒットしました。当時を振り返っての感想は?
当初の私はBL(ボーイズ・ラブ)作品に対して初心者で、その世界を十分に理解できていませんでした。でもドラマの現場に入ったら「これは面白いものになる」というワクワクした気持ちが止まりませんでした。本作は、私が演じる主人公の小説家が、その原作ドラマに出演することになった俳優とひょんなことから同居が始まる……という話なのですが、もちろんそんな状況になったことはないので(笑)役のキャラクターを理解し、それまでの自分の殻を壊そうと努めましたね。
今振り返ると、このドラマを通してそれまで自分が出せていなかった部分の多くを解き放つことができたと感じています。よく頑張ったなと。もし、またBL作品に関わる機会があればまた違う一面をお見せしたいです。
※2021年に日本の配信動画サービスと同時放送され、両国で大きな話題を呼んだタイドラマ。海外配信により大きな話題になった。
ー今タイではBLドラマが流行っていますが、その理由は何だと思いますか?
タイにはとても優秀で才能のある制作・クリエイティブチームがいるからだと思います。私自身、BLドラマの制作陣に会うと、彼らの能力やアイディアの豊富さに毎回感動しています。もちろんそれは制作陣だけではないですが、「BLの世界観を多くの人に理解してもらいたい」という製作側の真摯な想いが、国を越えた方々に見てもらえることに繋がっていると感じています。
ー自分の演技に手応えを感じた作品は?
う〜ん、演技に対しては今でもあまり自信はありません。他の俳優の人たちもそうだと思います。なぜなら、毎回新しい役をもらうので「何か掴めたかも」と思った時にはその現場が終わってしまうんです。自分の演技が上手いと思ったこともありません。役者は、自分自身を常に成長させなければいけない職業だと思うので、この先も満足することはないでしょう。それに、トレンドはすぐに移り変わります。求められるものにすぐ応えられるよう、いつでも自分のナイフを研いでおかなければいけないと思っています。
ー今後、演じてみたい役柄はありますか?
たくさんあります。私にとって演技とは、さまざまな形に変化するもの、視聴者がもっと理解できるように自分の人間性を引き出し、拡大すること。他の作品を見たり、俳優の方々のインタビュー記事を読むたびにいつも刺激を受けています。すべてのキャラクターには独自の魅力がありますよね。俳優側がやりたい役を選べるわけではありませんが、個人的にはアクションシーンを多く体験してみたいですね。
「日本アニメが好き」気になるプライベートは
ー日本で好きな作品を教えてください
スタジオジブリが好きです。今まで見た中では、『千と千尋の神隠し』と『魔女の宅急便』が特に印象に残っています。他のアニメだったら、新海誠さんの『秒速5センチメートル』が大好きで10回以上見ています。
もともと日本が好きで、コロナ前は日本旅行も行っていました。場所を問わずいろいろなところに行くのですが、汗っかきなので暑い時期は避けています(笑)。日本で食べたお寿司は最高でした。一番好きなのはウニです。この他、焼き鳥や串カツなど日本食はどれも好きですね。
ー複数の美容ブランドで広告モデルを務めていますが、普段から気をつけていることはありますか?
とにかくよく寝ること! なかなかまとまった時間はとれませんが、意識はしています。やはり休んでしっかりと整えることが重要だと思うので。それ以外は1日3〜4Lほどの水を飲むこと、健康にいいものを選んで食べることくらいです。
ー趣味は?
昔から本を読むのが好きで、1冊の本を時間をかけて集中して読んでいます。読書は、私たちの脳に多くの知識をダウンロードすることに近いと思っています。本はUSBで、私たちはコンピューター、本を読むことは知識を蓄えるためのショートカットという感じでしょうか。好きな本のジャンルは自己啓発本です。さまざまな本から得た知識が、自分の中での新しい考え方や発見に繋がっています。
6月末にリリース!
1stシングル「Up to you」について
ー自身初のシングルが発売されました! どんな曲なのか教えていただけますか?
「Up to you」と名付けられたこの曲は、一生懸命に頑張る人の背中を押すような応援ソングだと思っています。今回、私は歌の他にダンスにも挑戦しているのですが、27年間生きてきたなかで初めてのことばかりで、とにかく必死でした。作曲家の方や制作チーム、そしてマネージャーに支えられて形にできた1曲であり、私自身も制作期間中に何度も背中を押されました。
曲中に「心を込めて作りました。それを受け入れるかどうかは、あなた次第」という歌詞があるのですが、これはまさに今の私の気持ちそのもの(笑)。皆さんにどのように受け取ってもらえるか分かりませんが、聞いてもらえたら嬉しいです。
ー準備期間はどのくらいだったのでしょう?
曲を出すことが決まったのは1年前で、そこから歌とダンスのレッスンが始まりました。それまでの私はとにかく歌に自信がなく、友人とカラオケに行ってもずっと聞き役でしたし、ダンスも未経験。
自分の曲を出すと聞いた時は驚きましたし不安はありましたが、自分が予期していなかったことに挑戦することは面白いことでもあり、自分の中で欠けていた部分が埋まったような、コンプレックスから解放されたような感覚を得られたのは嬉しいことでした。
ー演技と歌、どちらの方が興味がありますか?
さまざまな面から考えると、演技の方が好きです。けれど今回初めて歌と真剣に向き合ってみて、歌うことは演技に似ていると感じました。歌詞の背景を想像して、その世界に入り込むなど共通点を知ることができたからこそ、歌うことも楽しいと思えました。ダンスも同様です。今後も演技と並行して続けていければと思います。
ー今後の目標を教えてください
まずは演技・歌・ダンスと、今取り組んでいるもののスキルをブラッシュアップしていくこと。あとは外国のドラマにも出演してみたいですし、日本語などいろんな言語を身につけたいと思っています。実は高校時代、日本語を勉強していたのですが使う機会がなくてほとんど忘れてしまったんです。だからもう一度勉強し、日本の皆さんと日本語で繋がりたいです。逆に、ファンの皆さんはタイ語を勉強してくれていて、日本のファンの方もいるのですが、ファンレターをタイ語で書いてくれたり、オンラインミーティングでタイ語を話してくれたりと、とても嬉しいです。
ー最後に、DACO読者へメッセージをお願いします
皆さんの応援が私の原動力になっていますし、皆さんの声援に応えられるように、これからも自分を磨き続けていきたいと思います! 俳優の私も、歌手の私もよろしくお願いします。
本名:Poompat Iam-samang(Up)
プームパット・エイムサムアーン(ニックネーム:アップ)
1994年、タイ・バンコク生まれ。チュラロンコン大学コミュニケーションアート学部在学中にCM初出演。15年にタイ映画『Gifted』の主演に抜擢された後、数々のドラマや映画を経て、21年にタイで大人気のBL小説を原作としたドラマ『Lovely Writer The Series』にW主演。作品と共に大きな反響を呼び、その人気は日本でも急上昇。22年6月に1stシングル「Up to you」で歌手デビュー。タイの他、韓国など国外でも活動中。芸能活動の他、大学時代にはイギリスに渡り、国際関係学と外交学の修士号を取得。その後、チュラロンコン大学政治学部で博士号を取得するなど多彩な面を持つ。趣味は読書、特技はピアノ。
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