映画を観た後は、その感想や疑問に思った場面、心を動かされたセリフなどを誰かと共有したくなりますよね? それは料理も同じこと。「美味しかった」のひと言だけでは決して終わらない、心をくすぐられるような不思議な余韻。そんな料理、食べてみたくないですか?
国産食材の良さを多くの人に伝えたい
2013年のオープン以来、多くのグルマンの舌を満足させてきた実力派「LE DU(ル・ドゥ)」は、BTSチョンノンシー駅前から1本入った場所にある一軒家レストラン。ニューヨークの名門料理学校を卒業後、現地の三ツ星フレンチレストランなどで経験を積んだトンさんが生み出す創作タイ料理は、他では出逢えないものばかり。その腕前が評され、『タイ版ミシュランガイド』で2019年から4年連続で一ツ星を獲得。訪れるたびに新しい驚きと発見を与えてくれます。
その見た目の華やかさや独創性から「今どきのスタイリッシュなジャンルか……」と誤解する人もいるかもしれませんが、トンさんのベースにあるのはタイの食文化と国産食材に対する敬意。「長い間、タイの食材は私たちタイ人の間で評価されてきませんでした。海外志向が強く、古くからの固定概念が浸透していたんです。けれど、幼少期から祖母の美味しいタイ料理に囲まれて育ってきた私にとって、タイは地球上で最も優れた食材の産地のひとつだと信じています。美味しい料理を提供することはもちろん、その事実を知ってほしいと思ってきました」(トンさん)。
使用するすべての食材は、地元の農家が愛情を込めて育てた上質なものを厳選。タイ産和牛は東部チョンブリー県、鶏は中部ナコンパトム県、主なシーフードは東部トラート県と南部パンガー県、エビは南部スラタニー県というように、食材と時期に合わせて美味しいものだけを仕入れていると言います。ここ10年の間に、様変わりしたタイ人の食材に対する意識。トンさんの想いが、料理を通して届いています。
「コース料理はひとつの物語」
今宵、変幻自在のエンタメ体験を
LE DUで提供しているのは、4品(2990B++)または6品(3590B++)のみ。「コース料理はひとつの物語」と考えるトンさんだからこそ、メニューをあえて2つに絞ってお店の想いを表現するのは当然のこと。メニューを通して、まだ見ぬ出逢いを予期させているのかもしれません。
「当店に訪れた方々には『こんな料理は見たことがない』と驚いてほしいですし、思わず笑ってしまうようなユニークさも忍ばせられたらと思っています。タイ料理に重きを置きながら、異なる食材や食文化を掛け合わせることで味の相乗効果を生み出したい」とトンさんは言います。
まさにその言葉通り、見たこともない料理や食材の組み合わせに編集部は終始魅了されっぱなし。タイの高級食材と言われ、東北地方でよく食べられているというアリの卵に、同じく東北地方の郷土料理「ゲーンオム(野菜をじっくりと煮込んで作られたグリーンカレーに近いソース)」、旬のハーブと花を組み合わせたサラダや、新鮮なエビに香ばしく仕上げた鴨の皮、サクサクとした食感が特徴的なクワイの実、酸味を利かせたトマトソースを合わせた前菜など、どれもユニークなものばかり。加えて、料理に合わせたペアリング(ワイン1500B・コンブチャ800B)も味わえるといい、LE DUの楽しみ方はは広がるばかり。
目の前のひと皿が一体どんな味で、何の食材を使っているのか、そしてどのようなアイディアから生まれたのか。料理の背景を紐解く楽しさを教えてもらいました。
LE DU
住所:399/3 Silom 7
(BTSチョンノンシー4番出口から徒歩3分)
電話:092-919-9969(英語・タイ語)
時間:19:00~22:00(要予約・日曜休み)
Facebook:LeDuWineBarandrestaurant
Instagram:ledubkk
WEB:www.ledubkk.com
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