移り変わりの早いタイで“変わらない”を貫くこと
スパンニガーグループのCEOとして、グループ設立当初から事業を支えてきたタットさん。開店10周年を迎えた昨年はコロナの只中。思うように営業できないもどかしさを感じながらも、ふと立ち止まって見えてきたのは自分たちの軌跡と原点でした――。
オープンから10年以上が経ちましたが、私たちのスタイルは全く変わっていません。もちろん新店舗や新業態をオープンしたり、新メニューを考案したりという変化はありますが、私たちが考える〝みんなの食卓〟というホームスタイルは揺るがない根幹です。ここ数年、バンコクではコース料理やお任せ料理がトレンドになっていますが、スパンニガーは一貫してアラカルト(一品料理)スタイルを追求しています。なぜなら、コースやお任せにしてしまうと、それは家庭料理ではなくなってしまうからです。こうしてお店を続けていられるのは、自分たちの変わらない味・スタイルを貫いているからだと思っています。
変わったとしたらお客さまの方でしょうか。オープン当時はほとんどタイ人だけだったお客さまが、月日を経るごとに日本や欧米の方をはじめ中国、韓国など国籍問わずさまざまな方々が足を運んでくれるようになりました。そのきっかけの一つに、ミシュランプレートに選ばれたことも含まれているでしょう。コロナ禍当初は思うように営業ができずに悩む日々がありましたが、その反面、改めて「自分たちのスタイル」を見つめ直すことができました。それは、ここタイに住む方々に向けて真摯に、美味しい料理を届けること。日常の延長線上にスパンニガーを置いてくださっている方、スパンニガーを変わらずに愛してくださっている方々に向き合うことを忘れてはいけないと再認識しました。
「定番の料理はもちろん食べたことがない料理にもぜひトライして」
タイ料理の魅力は、やはり味のバランスです。甘味・辛味・酸味・塩味・旨味と、それぞれの味が一歩も引かず主張し合っているはずなのに、最終的にはそれぞれが複雑に重なり合い、お互いを引き立てている。この味のバランスはタイ料理ゆえの特徴であると感じています。だからこそ、決まった料理だけでなく食べたことがない料理にも挑戦してほしいと思っています。タイ料理だからと言って辛いものばかりじゃないですし、メインディッシュだけじゃなくスープやサラダなどの副菜も豊富ですから。
日本の方がほぼ頼まれないメニューとして、試してみてほしい料理が2品あります。まず、牛肉を酸味と辛味が利いたタレで和えた「ヤム・ヌア・ラーイ」。タイ料理で「ヤム」と言えば定番に入るかもしれませんが、このヤムは牛すね肉を使い、お肉の柔らかさとコリコリの弾力が楽しめる珍しいひと皿です。ビールのお供にもピッタリですよ。
そしてもう一つ、好き嫌いが分かれると思いますが、他ではなかなか出合えないトラート県の郷土料理のスープ「ゲーン・パー・サッ(プ)・プラー・グラーイ」。粗挽きして小さく丸められたプリプリの魚肉と約10種のハーブ、隠し味にガピ(小エビのペースト)を使った旨味の強いスープなのですが、なかなか強烈な辛さで……日本の方がどんな感想を抱くのか興味があります。辛い料理が好きな方は、ぜひチャレンジしてみてください。
スパンニガー・イーティングルームのタイ料理を紹介した記事はコチラ!
Supanniga Eating Room トンロー店
場所:160, 11 Thong Lo Rd, Khlong Tan Nuea, Watthana, Bangkok 10110
電話:02-714-7508
時間:月〜日10:00〜22:00(L.O.21:30)
WEB:www.supannigaeatingroom.com/
Facebook:SupannigaEatingRoom
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