タイで新型コロナウイルスに感染し、病院と自宅それぞれで治療を受けたお2人にインタビュー。どのように感染が発覚し、その後どのような治療を受けたのか。当時の状況を教えてもらいました。
入院したタイ人女性「入院中は電話やSNSを駆使して医師とやり取り」
Aさん/タイ人・20代女性。メディア関連に勤務。2021年7月にコロナ感染。家族と3人暮らし。
― 考えられる感染原因は何だと思いますか?
社内に感染者がいたのですが、その際に対面式の会議を行うなど接触していたからかなと思います。
― 感染発覚の経緯を教えてください
私の場合は軽症で、当初は下痢と頭痛だけで熱はなく、鼻水や咳といった風邪の症状もみられず感染していると認識しづらい状況でした。けれど、念のためにPCR検査を受けたところ感染が発覚し、入院後に肺のレントゲン検査を受けたら「少し白い影がある」と言われました。体調がひどく悪いわけではなかったので自宅療養でも大丈夫と言われましたが、不安だったため入院できる病院を探し、そこで治療を受けました。
初期症状以降、鼻が詰まり呼吸が少し困難な状態がありましたが3日ほどで収まりました。5日目以降はほぼ無症状でしたが、隔離期間(14日)を通してずっと痰が出ていたのは気になりましたね。
― 治療の流れを教えてください
夜間に入院が決まったため翌日に肺のレントゲン検査を受け、その後、5日目・9日目と計3回検査を行いました。部屋には体温計と血圧計、酸素飽和度計が置いてあり、入院中は1日4回(8時・12時・16時・20時)それぞれの数値を計測し、LINEで看護師に報告。また昼食後、毎日担当医と電話で症状について口頭で話していました。
また前述した通り、初回の検査で私の肺に少し白い影が見られたことから「Favipiravir(別名アビガン)」という薬を1日2回(10時・22時)、計5日間飲みました。初日は各9錠、2日目以降は各4錠。あとは痰を切る「Acetylcysteine」に加えて、ビタミンCのサプリメントも毎食後に飲んでいました。2回目のレントゲン検査でも肺の白い影が消えていなかったため、「Favipiravir」を継続して飲みました。まとめると10日間で90錠……すごい量ですね(汗)。
ありがたいことに症状は悪化しなかったため入院生活は14日間で終わりましたが、退院後もさらに14日間自宅待機。少々やきもきした気持ちもありましたが、重症化せずに回復できたのが何よりでした。
入院できなかった日本人男性「症状が軽い場合は自宅待機と指示されました」
ペックさん/日本人・30代男性。広告業関連に勤務。2021年7月にコロナ感染。家族と5人暮らし。
― 考えられる感染原因は何だと思いますか?
複数人で旅行したことです。
― 感染発覚の経緯を教えてください
旅行先から帰宅した後に、体調が悪くなりPCR検査を受けたところ陽性と分かりました。その後、入院できる病院を探したのですが見つからず、衛生局に相談したところ、症状が軽い場合は自宅隔離するようにと指示され14日間自宅で隔離しました。
― 自宅ではどのように過ごしていましたか?
衛生局から「こまめな水分摂取と、症状に合わせた薬を忘れず飲んでください」と言われました。また「呼吸器系に異常が現れたり、熱などの症状が重くなった場合は1669(タイ国立救急医療センター)か1330(国家健康保険事務所)に電話してください」とのことでした。
感染発覚の翌日だけ38度を超える熱が出ましたが、それ以上高くなることはありませんでした。数日してから味覚・臭覚が感じられなくなり少し不安になりましたが、2日で元に戻りほっとしました。倦怠感や軽い頭痛は常にありましたが、そこまでひどくなかったことは幸いでしたね。一つ引っかかった点と言えば、入院希望だったため検査機関に相談し「病院か隔離用のホテルを確保して連絡する」と言われたのに連絡がなかったことですね。
― 感染中の治療方法を教えてください
家族とは別のコンドミニアムに自主隔離し、妻に手配してもらった医療薬と熱や咳を抑える「ファータライジョーン」、ビタミン剤を10日間服用しました。また他の症状が出た時に備えて、頭痛薬と解熱剤も常備しておきました。
― コロナ感染を経て、周囲に伝えておきたいことは?
身近では誰1人感染者がいなかったので、感染が発覚した時には「まさか自分が?」という感じでした。ただ振り返ると、パンデミックから月日が経ち油断があったのかもしれないと猛省しました。感染することで家族と離れ離れになったり、仕事に支障が出たり、最悪の場合は死に至るなど何もいいことはありません。気を引き締めて生活していきたいと改めて思いました。
※上記掲載内容は2021年8月取材時のものです。