プラー・ニンに日本との絆を想う
プラー・パオ。これに右下のタレや野菜が付く
日本の今上天皇が譲位の意向を示され、そのニュースはタイでも大きく取り上げられた。皇室を知らないタイ人でも、皇太子時代の1965年、淡水魚のプラー・ニン(ティラピア)50尾を前国王に贈ってくださった明仁天皇は例外だからだ。
プミポン前国王がそれらをチットラダー宮殿で養殖したところ大変な繁殖力だったため、本格的に漁業局で養殖を始めたという。幾度となく品種改良が行われ、タイ人の食卓に定着した今も、宮殿の池では天皇から贈られたオリジナルの品種が元気に泳いでいる。
「プラー・ニン」という名前の由来は諸説あり、一説によると外観にちなんだものだという。プラーは魚、ニンはサンスクリット語で「黒」を意味する(※)。
今回はタイのおいしい「プラー・パオ(焼き魚)」を紹介しよう。
血抜きをして内臓を取り除いたプラー・ニンの口に、生臭さを消すナンキョウやレモングラスなどハーブを差し込む。鮮度と同様に重要なのが焼き加減だ。皮に岩塩を擦り込んでから炭火で焼き始める。大きさによって焼き時間が異なるが、熟練の技で見事にジューシーな焼き魚の完成だ。
僕は野菜で包んで食べる「ミアン・プラー・パオ」を注文した。付けダレは、プリックの辛味が程よく効いた甘酸っぱいオリジナル。野菜もたっぷり食べられるから健康にも良いね。どうりで女性客が多いわけだ。
明仁天皇がティラピアを贈った理由とは。タイ国民が手軽に摂取できる動物性蛋白質を前国王が探していると知り、魚類学の権威である天皇がティラピアを勧めたという。プラー・ニンを食べる度に、前国王と明仁天皇という慈しみ深いお二人の御心を感じずにはいられない。
アローイ・ジャン・プラー・パオ
安くておいしいプラー・パオ屋台としてだれもが勧めるのがここ、イサーン出身のマナットさん(39)の店だ。プラー・ニンだけでなく、雷魚など5種類もの川魚を扱っている。創業は19年前。小さな屋台だが、養殖場からこだわった上質な魚を厳選しているためか、なんとプラー・ニンだけで1日150尾を売りさばくという。ミアン・プラー・パオは1セット(120B~)で3人前くらい。持ち帰り専門なので、家でゆっくりビールと共にいただこう。
DATA
時間:15時半~20時 月水金休
電話:08-171-1513
※参考文献:在京タイ王国大使館広報文化部 (2007)『Hearty Smiles, 120th Anniversary of Japan-Thailand Diplomatic Relations』。日本語の文献では「明仁天皇の仁が由来」という説が有名だが、本文のような説もある。









