男と女の学際研究 ~現役学者が微笑みの国を考察!~
5人の現役研究者が「日本男とタイ女」をテーマに、いろいろな角度から考察する連載コラムです。
今回の著者:心理学 平松隆円
タイを、微笑みの国とよぶひとは、たくさんいます。ヘンリー・ホームズの『Working With The Thais』によれば、タイ人には、10通り以上もの微笑みがあるのだとか。たしかにタイ人は、よく微笑んでいますよね。
微笑むタイ女の魅力
微笑みは、それ自体が身体的な魅力の源泉です。目尻が下がり、口角が上がる表情は、友好の証であり、同時にそれをみるひとに、快感情をあたえます。そのため、ひとは微笑むだれかにに好意を示し、一緒にいたいとおもいます。
生まれながらに、微笑むことが習慣づけられているタイ女。じつは、それだけで魅力が何割か増していたんです。
不慣れな異国での生活で、さりげなく微笑まれたら……。日本男が、タイ女にコロっといってしまうのも無理はないかもしれません。
無表情は怒っているのと同じ
ところで、タイ人の友達や恋人から、「怒ってるの?」といわれた経験はありませんか。じつは、日本人は怒りやすいと感じているタイ人は、少なくないんです。
管理職という駐在員の仕事柄、いつも怒っているとおもわれているのか。それとも、時間におおらかなタイ人との生活に、イライラを募らせていることが、無意識のうちに顔にでているからなのか。そうじゃないんです。
『顔表情からのネガティブ感情認知における日タイ異文化』という研究があります。それによると、日本人もタイ人も表情を読み取る能力に違いはないものの、タイ人は日本人の無表情を、なぜか怒っていると誤認しやすいんだそうです。
おそらくは、微笑み以外の顔を見慣れていないからでしょう。ひとは、日々の生活のなかで、表情を読み取る訓練をしています。微笑みの国で育つからこそ、数多くある微笑みの違いは読み取れても、それ以外の表情を読むことができないんです。
日本では、男は感情をだすんじゃない、といわれます。ですが、タイでは喜怒哀楽をはっきり表現したほうが、よけいな誤解を招かずにすむようです。