今年、日本を訪れたタイ人の数はすでに62万人を超えている※。関係機関や企業の地道な訪日誘致のための努力や国を挙げての活動により訪日タイ人の数が大幅に増加した。
そんな中、ダコ編集部では、日本に行ったことのあるタイ人のことをよりよく理解するために、訪日中の動向をチェックしてみた。ダコタイ語版の読者の内、日本への個人旅行経験者223人に緊急アンケートを実施。
どんなところに行き、どんなことに興味を持ち、どんな風に感じたのか? タイ人が日本で感じたこと、出合った感動、困ったこと。アンケート結果からの専門家による解説とともに、タイ人が日本で出合った心温まるストーリーも披露する。
ダコ・タイ読者の回答から日本人の知らなかった日本の魅力を発見!
※2015年10月現在。2014年は1年間で65万7570人。JNTOの数字
データ特集記事 第422弾
取材・文・写真/ダコ編集部
タイ人の日本旅行が浮かび上がる 訪日動向アンケート
このアンケートは2015年11月初旬に実施。FIT(Foreign Independent Travel:個人手配の海外旅行)で日本へ旅行に行ったことのあるダコタイ読者223人からの回答を集計した。個人旅行の層、求めるものが浮かび上がってくる。
解説してくれた専門家は、こんな人。
吉川 歩さん
O2 Asia Travel Design Co.,Ltd.
0-2635-0416、66、86
www.o2asiatraveldesign.com
タイ人富裕層向けオーダーメイド旅行のみを提供する旅行会社、O2アジア・トラベル・デザイン社を経営。過去3年連続、JNTOより「トップエージェント賞」「ユニークデスティネーション賞」を表彰される。2014年より関西の2府5県からなる関西広域連合のKANSAI観光大使も務める。タイ人の日本旅行の好みに精通した彼だからこそのコメントをお楽しみあれ。
1.今まで何回、日本に行きましたか?
リピーターがさらにリピートしていく
リピート率高いですよね。 2〜3回行っているというのもすごい多い。今後この人たちが、さらにリピートしていくと思います。僕の周りでも10回以上行っている人も結構いますからね。
2.どの県がよかったですか?(複数回答)
食と買い物が充実の、都市に集中!
回答者の大半が都市をよかったと思っています。やっぱり食と買い物が充実しているからですね。この2つはタイ人の中で優先順位が非常に高いものです。リピーターになるほど、観光よりも食事と買い物の時間を長く取りたい人たちが増えてきます。リピーターだから、地方に広がっていくという訳じゃないんです。
3.日本へはいつ行きましたか?
最近の傾向は、閑散期でも個人旅行が増えていること
けっこうばらけていますね。ツアーだと4月と10月がピークです。飛行機も高いし、混みます。個人旅行では、それを外しているんでしょうね。ここ数年の傾向として、谷間の底上げが言われています。6月〜9月はもともと閑散期です。涼しいところを求めているのに、あえて日本の夏に行きたくない。そして梅雨は写真が撮りにくい。曇りだと写りもよくないですし(笑)。ただし、この時期にも個人旅行に行くようになってきた。谷間がどんどん上がってきています。
4.日本へはだれと行きましたか?
家族みんなでツアーの旅、個人旅行はひとりか友達と
意外だったのはひとり旅。日本好きのマニアック層だったからでしょうか(笑)。友達と行くが多かったのも意外でした。タイ人は家族と出かけることが多いです。ただ、個人旅行だと電車を乗り継いでの移動など、複雑なことも出てくる。だから、気楽に行ける友達が多いのだと思います。
5.どのぐらいのお金を使いましたか? 飛行機代、宿泊代も含めてお答えください
LCC利用で低予算の旅!
LCCが飛んで、コストを安く抑えられるようになったので、2万〜4万Bの予算の人たちが日本に行けるようになったんですね。2万Bで飛行機代も宿泊代もって人が8人もいますね! どうやって全部まかなったんでしょう? LCCのプロモを狙って、安い宿泊施設を調べあげたんでしょうね。
6.何日間ですか?
所得が上がれば、滞在日数は増える!(はず)
ここで一番多いのが3~7日です。タイ人富裕層の日本旅行の大半は7~10日以上。ツアーと違い自分たちで滞在日数を決められる個人旅行なので長くなるはずですが、予算と休日との兼ね合いでしょうね。今後、所得が上がれば滞在日数は伸びると思います。リピーターが多いのは、日数が足りてい ないということですし。まだまだ行きたいところがあるのにそれを残したまま帰ってきてるということです。
7.旅行前の情報はどうやって入手しましたか?(複数回答)
旅の情報は、会社でゲット!?
1位は絶対モバイルだと思ったんですけど、パソコンが圧倒的に多いですね! 僕は、タイ人が家に帰ってパソコンで調べてるとは到底思えなくて、普通のタイ人だったら、みんな会社で見ますよね。情報を探すのはモバイルで事足りますし。確かに情報がいっぱいあるときはパソコンの画面の方が大きくて便利なんでしょうけど。もし、これ会社のパソコンからアクセスできなかったら、間違いなくこの回答は反対になっていると思いますよ(笑)。
8.参考にしたサイトは?(複数回答)
9.宿泊施設はどこですか?
英語化が待たれる日本の旅館
旅館に泊まった人が少ないですね。僕が思うには、ホテルは英語の情報がありますけど、旅館って意外とないんです。タイ人はエクスペディアをよく使いますけど、旅館はそんなに載ってないんです。そして、地方の安い旅館になると予約は日本語が必須じゃないですか。だから、余計ハードルが上がるんでしょうね。
10.一泊の宿泊料金の予算は?
とことん探して、安い宿を見つけ出す
300B以下が6人(2.7%)もいますね。すごいです。われわれが見たこともないようなウェブサイトで宿泊施設を調べて。こういう人たち、そういう探す術も知っていますし、ちゃんと見つけてきますからね。
11.日本国内での移動手段は?
タイ人の大量の荷物が、飛行機利用のネック
飛行機は料金が安いときもあって便利なんでしょうけど、まだまだ利用者が少ない理由は、手荷物の重量制限なんですね。タイ人の荷物は大量なので超過料金が掛かってしまうというのが、ひとつです。そして、タイ人は日本人みたいに少しでも速く、というのを求めてないんです。有名な観光地へはJRがほとんど網羅してるというのもありますしね。
12.外国人旅行者用の優遇パスは何を使いましたか?
優遇パス利用者の今後の推移が気になります
なしが90人。優遇パスは個人旅行者がまさにターゲットですが、半数が使っていないのは意外です。パス利用よりも安い範囲内で移動しているのですね。今後、この優遇パス利用者数がどう変わるか興味があります。今、国は地方に外国人旅行者を分散させようと一生懸命ですから。