国内で唯一のガルーダ印が輝く
珍平酒樓
※オーナーの意向で「王族の方がどのメニューを召し上がるかはお伝えできません」とのことなので、ここでは店のおすすめメニューを紹介する。
ガイ・ヤーン(鶏の炭火焼き)
ガイ・リアン(養鶏)のほかガイ・バーン(地鶏)も選べる(写真はガイ・リアン)。肉は脂がよく抜けているのにパサついておらず、皮は食感がもっちりとしている。タレは一般的なスイートチリソースではなく、自社製の酢をベースにした特製の酸っぱいタレを使っている
プー・パッポンカリー(カニのカレー炒め)
爪の立派なカニが大量の卵と共にオレンジ色に濁ったスープの上に横たわっていて、見た目にもインパクトのある一品。他店に比べると辛さ控えめでまろやかな口当たり。カニの甘みが引き立っている。殻が細かく砕いてあって食べやすい
店内に足を踏み入れた瞬間、一気に数十年前にタイムスリップした気分に包まれた。
バンコクの古いホテルにもよく見られるようなレトロな内装、昔ながらの古い色遣いの制服を着て動き回る従業員。端っこの席に腰掛けると、時の流れがさらに遅くなったように感じられる。
ここの歴史は68年前に遡る。もともと酢の工場でマネージャーをしていたジャラスさんとジャンペンさんが工場前で開いた小さなガイ・ヤーン(鶏の炭火焼き)屋台が始まりだった。特製のタレに漬け込んで弱火でじっくり脂を落として焼き上げたガイ・ヤーンと、それに添えた工場製の酢を使った酸っぱいタレが話題となり、年を追うごとに店を拡大。約30年前に今のような披露宴会場まである3階建てのパッタカーン(酒楼)になった。
街の評判はやがて王宮まで届き、1963年12月17日、ついにプミポン現国王から直々に「ガルーダ(神鳥)」の看板を授かるという、この上ない栄誉を受けることになる。このガルーダの印は王室や政府の象徴として使われるタイの国章で、通常は政府機関と銀行の建物にしか掲げられないのだが、この「珍平酒樓」ただ1軒だけがガルーダを使うことが許されているのだとか。
この時以来、王室や政府関係者の重要な会食にたびたび利用されるようになったとか。
店内には王族の写真が飾られているのだが、写真があるのは客席から離れた、客の目には止まりにくい場所。これ見よがしにアピールしない所に、老舗の矜持が感じられる。
店の前面に高々と掲げられたガルーダの看板
約30年前の雰囲気をそのまま今に残すレトロな店内
珍平酒樓
パッタカーン・ジャンペン
ภัตตาคารจันทร์เพ็ญ
1030/1 Rama 4 Rd.
10時半~21時半 無休
0-2287-1535~6、0-2679-7930~1
www.chandrphen.com
ガイ・ヤーン260B、プー・パッポンカリー180B/100g(写真は1440B)、プラー・ガポン・ヌン・マナオ(スズキのライム蒸し)680B