脳内をしっかり見て、じっくり調べる「脳ドック」。サミティヴェート病院の脳ドックコースについてじっくり聞いて、超音波で自分の血流を見てきた発行人のレポートです。
報告者/ダコ編集部MN(物忘れが得意)
<ずばり実感報告>血液は脳内を秒速80cmで駆け巡る
血流が止まるのが脳梗塞
脳溢血(=脳出血)の現場に立ったことがある。手術の瀬戸際にMRI は知人の脳の断面を映し、モニターがスライドするごとに、脳内を静かに占有してゆく出血の様子が冷酷に映し出されていた。
かたや脳梗塞。脳の血管に血栓が詰まって血流が止まってしまう症状だ。脳内の血流が止まると酸素が供給されなくなり脳細胞が秒単位で壊死してしまう。原因は高血圧、コレステロール、糖尿病、喫煙、飲酒、不健康な食事、運動不足、肥満、ストレス……。まるで快適な現代に生きる代償ではないか。
4時間半以内に病院へ
一気にこの世とおさらばするならいい。植物人間となって自分の意思がなくなるのは怖い、いや意思がないから怖いと感じることもないのだろうか。しかし身内の立場になるといたたまれない。身内には脳溢血だろうが脳梗塞だろうが、倒れたら病院へ運ばなくていいと伝えているが、実際にその場に居合わせたら死ぬほど苦しい決断を強いることになる。
サミティヴェート病院の医師によると脳梗塞を発症したら4時間半以内に設備の整った病院に駆け込み静脈注射で詰まりを溶かさなくてはならないそうだ。タイの離れ島でのんびりしている最中の発症ならまず手遅れだ。
前兆をぜったいに見逃さない
脳の模型をもとに脳の区分や機能を説明してもらう
脳梗塞の前兆には、片方の手足、顔半分の麻痺やしびれ。ろれつがまわらない。人の話がわからない。歩けない。視野の半分が欠ける。などが起こるそうだ。これらの症状は放っておいても治るが、3カ月以内に4〜20%の方が発症し、そのうちの半数は48時間以内に発症するそうだ。この症状に気づいたら、即病院だ。身内に迷惑をかけたくなければそれしかない。
また自覚症状がなくても40代で3人に1人に見つかる「隠れ脳梗塞」という微小な脳梗塞があるそうだ。そのまま放っておくと、脳梗塞による大きな発作に襲われる確率が3〜4倍高くなるという。隠れ脳梗塞は50代で2人に1人、60代以上では80%以上に見つかるという。まったく、何のためにこの世に生まれてきたんだか。
脳へ至る頚動脈の流れを見てもらった
これから自分の脳内への旅が始まるのか……。
ソングチャイ医師のレクチャー開始
隠れ脳梗塞を脳ドッグで発見できれば最悪の事態を防ぐことができる。サミティヴェート病院には①脳全体を調べるMRI。②頭部の血液の流れをみるMRA。③脳内の血液の状態をみる経頭蓋骨超音波ドップラー検査。④頚動脈の血管の状態をみる頚動脈超音波ドップラー検査。がある。
このうち今日は③④で実際に自分の脳の状態を診てもらうことになった。病は気から。「絶対に自分の脳は大丈夫」と言い聞かせ診察台に横になった。ヒヤリとしたセンサーが頚動脈に当てられる。
脳内の血流状態が映し出されたモニター
以下、耳に聞こえてきたモニターを見ている通訳の方の声
「この部分、血管内の下についているのは脂肪だそうです」
「カルシウムかもしれません」
「脂肪がついていると石灰化してカルシウムになるようです」
「これが脳に上がってゆく血管です」
「これが実際の血流の音です」(クワオン!クワオン! クワオン! という凄い音)
「通常血流の速さは部位によって違いますが、秒速50〜80cm ぐらいだそうです」(速い。そ
んなに速いのか。生かされていることに感動)
検査が終わった。「血管内に脂肪が見受けられますが、異常はないそうです」。
50を過ぎてからは人の名前を連想したものと関連付けないと覚えられない。年齢は西暦から生年を引き算して割り出す。仕事の案件はいちいちメールの履歴を遡らないと返信できない。ひょっとしたら? と思っていたが、まだ大丈夫のようだ。こうした安心感を得るためにも、そして早期発見で最悪の事態を防ぐためにも脳ドックでの検査は有意義だった。
Samitivej Hospital Sukhumvit
場所:133 Soi 49, Sukhumvit Rd.
時間:8時~17時 土日休 (受診は月水金)
電話:0-2711-8334(健康診断予約センター)
Email:japan@samitivej.co.th
Web:www.samitivejhospitals.com
料金:脳ドックコース1:1万5000B(文中②③④)、脳ドックコース2:2万5000B(文中①②③④)