カンボジアで発見された高齢象のペンダー(象の名前)
勇気と誇りの象徴として古くからタイ国民に親しまれている象――。だが近年、タイ全土で約5000頭にまで減った象は絶滅の恐れとともに、もうひとつの大きな問題に直面している。現役から退いた象の高齢化問題だ。
木材の運搬や象乗り体験など、象はタイ社会の日常に溶け込んだ存在だが、加齢によって役目を終えた高齢象の占める割合が年々増加しつつある。
一般に象の寿命は70歳前後とされているが、現在タイで暮らす象の平均年齢は約35歳。2頭に1頭が45歳を超える高齢象という割合だ。さらに20年後の2034年には、4頭に3頭を高齢象が占める「超高齢象社会」がやってくると天然資源・環境省では予測している。
高齢化の影響はすでに社会に及びつつある。アユタヤーにある「アユタヤー・エレファントビレッジ」では、先月観光客を乗せた高齢象の「ペンダー」が観光ルートから外れて徘徊。1週間後、国境を越えたカンボジアで発見されるという事件も起きている。
また高齢象が突然暴れ出したという飼育員からの通報も増加傾向にある。温厚な性格で知られる象が狂暴化する理由として、毎日定時に与えているデザートのバナナを食べていないと錯覚してしまう認知症が原因ではないかと指摘する専門家もいる。
天然資源・環境省では「かつて毒入りジャガイモを与えようとしたどこかの国と同じ轍を踏んではならない」として、特別養護老象ホームの建設を急ぐなど高齢象を社会的に支える仕組みを早急に整えたいとしている。
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