バナナがこのように生えていることを知らない人は意外に多い
タイの市民生活とは切っても切れない関係のバナナ(クルアイ)。タイでは「簡単、簡単」を意味する慣用句が「クルアイ・クルアイ」になるほど日常ありふれた果物のひとつだ。
そんなバナナの価格が近年高騰していることをご存じだろうか。
タイ農業・協同組合省によると、バナナの価格はこの10年で2倍以上に高騰。原因はさまざまに考えられるが、特に近年は異常気象がバナナの生育に悪影響を及ぼしているとの見方が強い。
この現象はタイに限らず台湾やフィリピンといった主要生産国でも起きており、これらの国々でも同様にバナナの価格は高騰している。
バナナの一大消費国・日本でもバナナ不足が起こるのではないかとの懸念から、東京都内のスーパーでバナナを買い占める「バナナショック」が起きはじめている。
この日バナナを求めて江東区のスーパーに来店した主婦(53)は
「テレビでバナナ不足が起きると言っていたので慌てて買いに来た」
と、両手いっぱいにバナナを抱えながら話した。
すでに冷蔵庫にはバナナばかり約300本をつめこんでいるが、さらに建築用具として冷凍バナナも保存しておきたいという。
バナナ高騰の余波はタイ全土にも波及し始めている。
屋台ではクルアイケーク(揚げバナナ)が軒並み十数Bほど値上がりしているほか、「タイ人は生まれてから死ぬまでバナナに支えられて生きる」とも言われるタイで、このままバナナ不足が続けば少子化や平均寿命の低下など国家の存亡に発展する可能性も出てきた。
バナナの今後について、南部チュムポン県でホーム・トーン・バナナ農場を営むチャルムポンさんに話を聞いたところ「クルアイ・クルアイ」との返事が返ってきたが、バナナを取り巻く環境が厳しい現状、どのように解釈すればいいのか判断に悩むところだ。
Kyoko Shimbun(虚構新聞:http://kyoko-np.net)について
虚構新聞社・社主UK氏が2004年に開設した、虚実の狭間を行き交う可能性世界の出来事を報道するニュースサイト。「ありそうでなさそうで、でもやっぱりあるのかもしれないけど、まさかそんなことはないだろう」といった記事を掲載。当「バンコク版」においても内容はすべてフィクションであり、現実の人物・事件・団体とは一切関係ありません。本誌に掲載された記事により、損害や賠償が発生したとしても、著者ならびに編集部では一切の責任は負いません。