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チェンマイ銀砂館の日々
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      掃除に来たTさんがとつぜん言った、「4月で辞める…」。オーナーから解雇を言い渡されたという。掃除の合い間に空き部屋に入込んでTVでも見ていたのがオーナーにでもバレたのではないかと思うが、真相は知らない。オーナーはいい人であるが、規則の施行には厳格で、かつては禁煙区域であるエレベーターの中でタバコを吸っていた二人の従業員が、その場で解雇されたこともある。
    ヤレヤレと思うのは、新しく掃除に来てくれる人と、また一から人間関係を構築しなければならないからである。むかし掃除に来てくれた女性は、金のケースに入れて大切にしていた小さな仏像を盗んでいった、たぶん。証拠がないので咎めだてはできないが、他所の部屋でも同様なトラブルがあったらしく、解雇されたという。
    近所に住んでいた韓国娘のハナちゃん一家は、ハンドンという飛行場の向うのほうに引っ越すという。そして、ながくマネージャーを務めてくれたセーン君はチェンライのホテルに移るといって、すでに辞めてしまった。
    「いまは永久(とこしえ)、きみよさらば~」、ハリウッド映画の中の甘美なセリフであるが、現実はそうはいかない。時の程ではあっても来し方行く末を思い、答えのない答えを求めてあれこれ悩む。そんなときは、本当は宗教の入り口に立っているのであろうが…。
    しばらくブログはお休みである。
      一時帰国を控えており、印刷が必要なものもある。友人たちと会う場所の地図などもあり、いつまでも放っておくわけにもいかない。それで、このまえ印刷しようとしたら“黒インクがない”と警告が出た。インクを買ってきて再度チャレンジ。まずい、こんどは赤インクがないと出た。ぶつぶつ言いながらまた店に行ったが、どうせ三原色の全てもダメなのだろうと思って全色を買った。色々なことがある。
    日本の寺からもらった仏教の本がある。お経の解説などが書かれた本で、住職から感想などを聞かれてもマズイと思って読んでおいた。経文の解説のほうは何度読んでも頭に入ってこないが、付属して書かれていることは面白く、そのほうばかりを何度か読んでみた。
    ワイフの知人がオフィスを辞めて日本に行くという。タイの人であるが日本語は完璧にちかい。あんなにうまい人は、領事館のSさんくらいではなかろうか。招待したところ、またも嫌いなワインをもらってしまった。マンションの事務所の二人も昨日を限りに辞めて、チェンライに行くという。突然のことで、送別会をしてやることもできなかった。こんどはチェンライのリゾートホテルで働くという。ネットで調べてみると、チェンライから十数キロ、車をもっていないので行くのは無理だろうと思った。
    現時点でタイを訪れる観光客は急増しており、全く席が取れないという。行く人、来る人、世の中はさまざまである。
    いろいろ考えたが、もう一回チェンライの旅について書こうと思う。いつもは車とガイド娘つきの家族旅行のようなものであるが、今回は、車もガイドも儲けの大きい仕事がたくさんあるので、“ちんけな銀旅”には付き合ってやれないと言われてしまった。それでバスの旅になったのである。VIPバスではなく、エアコンバスを使ったが何の不足もなかった。トイレつきバスであったが、分かったのは3時間半の走行中にトイレを利用者はいなかったということ。1/3ほどの人は、途中のトイレ休憩のときに3Bを払って利用していた。
    途中には山道が多いが、バナナやチークを見ないようにすればススキのようなものも多く、植生はどことなく箱根やカトマンドゥ郊外の景色に似ていないということもない。帰路は運転席の後ろの席だったが、だいたい7090kmほどのスピードであった。
    チェンライのホテルは市の中心部にあったので、どこに行くにも便利だった。襟のないシャツに、ショートパンツとツッカケという日本の爺さんのグループが、昼間からホテルのレストランでビールをあおっていた。こういうグループは、例外なしに大声で話している。
    バスの中で“Country Road”を聴いた。~Country road, take me homeTo the place I belongWest Virginia, mountain mommaTake me home, country road~。West Virginiaには娘が学んだ学校がありタバコの産地であるが、私は行ったことがない。
      いつも人任せの旅なので、チェンライの印象は薄い。これを愧じて今回はひとつ記憶に残る旅にしようと、翌朝はまずTATに行き、暇そうな係員に絡みついた。17日というのに町には中国正月の雰囲気が強く漂い、いたるところで爆竹が鳴っている。店先に爆竹の紐がぶら下がっているところに立っていれば獅子舞のような一群が現れ、すぐに花火が始まる。
    さて、係員は三つの寺に行けと言い、地図に印をつけてくれた。ワット・ガンムアン、ワット・ドイトーン、ワット・プラケーオである。ガンムアン寺の仏塔はマンライ王の遺骨を納めていることで夙に知られる。ドイトーン寺は今回はじめて知ったのであるが、釈迦の遺骨が納められている仏塔がある。プラケーオ寺については説明するまでもなく、現在BKKにある翡翠仏が発見された寺である。
     もちろんこれらの寺は訪問した。そして、いつものようにプラシン寺にも立ち寄った。ランナー王朝は、ここチェンライから興ったものであるから、チェンマイにも同じ名前の寺が多くある。チェンマイのプラシン寺は王朝寺院である。チェンライのプラシン寺については知らないが、名刹であることに違いはないので、しばしば訪れる。そして、運よく住職に会うことができた。聖水をかけてもらい、サイシンを結んでいただき、寺の資料をもらうこともできた。
     あとからお布施を出したことを愧じたのは、仏伝に次のような話があるからである。<仏陀とバラモンの対話> ~説法に納得したバラモンは、仏陀に食事を供養しようとしたが断られた。「供養は説法の対価として施されるものではなく、聖者に対する尊敬を表すものである」。すなわち、「タンブンはもらった資料の対価としてさし上げるべきものではない」、ということである。
      アニバーサリーということで、思いついて北の方に一泊の旅をした。チェンライに宿をとり、チェンセーンまで足を伸ばす旅、暇をもてあまして、北の寺を見に行こうというのである。ゴルフ屋さんたちと異なり、寺以外には行くこところがない。何度も行くのに印象が薄いのは、本気でないからである。
    それでもまずチェンセーンの遺跡パーサック寺(=森+チーク)を訪れた。いつものように遺跡の前に腰を下ろして、1時間半ほども物思いにふけった。ガイドブックには、ランナー、スコータイ、プーカム様式が混じる、と書いてあるが、全く違うだろう。典型的に近いランナー様式ではないかと思う。最終的にはチェンマイを都と定めたランナータイ王国のマンライ王は、この町の出身である。チェンは“城壁に囲まれた町”を意味し、チェンセーンにも古い城壁が残っている。
    最終便のバスに揺られて1時間半、チェンライの町に宿をとって夕食に出かけた。時計台のそばの初めてのホテルであるが、クーラーつきのツインの広い部屋が500Bというので、あまりの安さに驚いた。全てが完備しているのにどうしてそんなに安いのか分からない。
    ナイトバザールのそばのショウ付の広場で飲みすぎた。オカマショウだったとワイフは言うが、全く覚えていない。
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