前川通信 by 前川健一
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前川通信その171 クイティアオに関するちょっとした雑学 2017年8月5日

前川 健一 前川 健一

クイティアオは潮州など中国南部の言葉で、漢字で書けば「粿条」。米で作ったヒモ状のものという意味だ。バミーもやはり南中国の言葉で、漢字で書けば「肉麺」。麺は小麦粉で作ったヒモ状のものということなので、狭義にはバミーはクイティアオには含まれない。


クイティアオはタイのどこの町でも、どの街道でも食べられるが、バミーは都会の料理だ。戦前までは、バンコクでもバミーは中華街に行かないと食べられなかったようだ。


民族主義的なピブーンが首相になった1930年代末以降、経済を握る華人に対抗するために、道路を含む公有地での屋台営業を華人には禁止し、タイ人には簡単にできる小舟のクイティアオ屋を奨励した。そういう歴史もある。


19世紀から20世紀に華人がやっていたクイティアオ屋というのは、天秤棒に七輪と鍋を下げた物売りのようなもので、担担麺(たんたんめん)は「天秤棒の麺」という意味だ。1990年代のバンコクで、自転車の荷台に七輪と鍋を乗せた移動クイティアオ屋が路地に入ってきていたが、まだあるのだろうか。


タイ人がクイティアオに砂糖、酢漬けトウガラシ、粉末トウガラシ、ナムプラーを入れて食べるのは、異民族の料理を自分の味にするという行為だ。マッサマンやケーン・キヤオワーンのように、タイ料理に砂糖やココナツミルクをたっぷり入れれば、日本人も欧米人も喜んで食べるというのと同じ行為だ。

 

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前川 健一

まえかわ・けんいち
ダコの名誉顧問ライター。『タイ様式(スタイル)』(講談社文庫)など著書多数。近著に『異国憧憬ー戦後海外旅行外史』(JTB)。また、旅行人HP(www.ryokojin.co.jp)にエッセイ「アジア雑語林」を連載中(アジア文庫より移転)。

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